【 連続時空小説 】 ちゃんと、ちゃんとの味の素 第二話 | まなブログ

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脈の変化でカラダの声を聴く『脈ナビ』による施術、セミナーをご案内しています。
大阪府堺市で鍼灸院を開業しています。
日々の気づきをつづります。

ホントは、誰に?

 

 

 

えっちゃん、カミングアウト。

これまで誰にも話せなかったことって?

 

 

「職場にいるんです。」

 

 

何が?

 

 

「どうしても許せない子が。」

 

 

いるだけで、空気が和む。

一瞬で緊張を解いてしまう空気清浄機。

ブルーレットもびっくりの「えっちゃん置くだけ」。

 

そんなえっちゃんが、どうしても許せないって。

一体、何が?

 

 

「仕事ができないのに、できるフリをするんです。」

 

 

うーん、なるほど。

でも、そこまで許せないなんて。

 

ちなみに、その子にひと言、言ってやるとしたら?

 

 

「死ねっ」

 

 

えっ。

そこまで?

 

 

「心の中で、何度も叫んでました。」

 

 

あら。

 

 

「・・・ごめんなさい。」

「聞き苦しい言葉を。」

 

 

いえいえ、逆に嬉しいですよ。

誰だって、思ったことありますよ。

もちろん、私も。

 

 

けど、なかなか自分がそう思ってること。

人前では言えませんから。

 

そこまで正直に打ち明けてもらえるなんて。

嬉しいですよ。

 

 

せっかく「死ねっ」を頂いたので。

ちょっと深堀りしてみましょう。

 

間違いなく、埋まっています。

えっちゃんのコアが。

それだけ心を揺さぶられるんだから。

 

 

こういうのって、自分ではできないんですよ。

気づいてしまうから。

ホントの自分に。

 

気づきたいのに。

気づきたくない。

 

私たちは、矛盾する両極を抱えています。

 

 

えっちゃん、教えてください。

では、その子は。

どうしたら、いいんでしょうか?

 

 

「ちゃんと認めたらイイんですよ。」

「自分がデキないことを。」

 

 

なるほど。

ちゃんとね。

 

いま、ピピッときました。

 

えっちゃんが許せないのは、

ホントの自分を認めず、

かっこつけて

 

 

「装ってる」

 

 

ことでは?

 

 

「ああ、そうかもしれません。」

 

 

えっちゃん、沈黙。

牛のように反芻。

 

 

「・・・それで思い出したことが。」

 

 

何なに?

 

 

「私、無視されてたんです。」

 

 

えっ。

いまの職場で?

 

 

「いえ、高校時代です。」

 

 

ほー、10代の多感な時期に。

 

 

「しかも、2年間。」

 

 

えっ、2年も?

 

 

「そう、2年と3年。ずっとです。」

 

 

あら、それはツラい。

 

 

「しかも、私、総代だったんです。」

 

 

総代。

つまり、学級委員、クラス代表ね。

 

けど、あれって、投票じゃないんですか?

村八分にあってるのに。

 

 

「だからこそ、総代なんですよ。」

「イヤがらせのつもりだったのでは。」

 

 

なるほど。

でも、教室にいるのがツラいですよね。

授業中は、まだしも。

休み時間とか、長い昼休みとか。

 

 

「職員室が私の居場所でした。」

 

 

職員室?

 

 

「総代でしたから。」

「先生から何か伝達事項はありませんかと。」

「ほとんど何もないんですけどね。」

 

 

ですよね。

 

 

「でも、楽しみがあってね。」

 

 

ほー、職員室で?

 

 

「A先生とお話するのが、唯一の癒しで。」

 

 

男性ですよね?

 

 

「ええ。女子高でしたから。」

「私だけでなく、みんなに人気が。」

 

 

でも、村八分のえっちゃんが。

A先生と親しくしたら。

 

 

「はい。余計につらく当たられました。」

 

 

ですよね。

 

っていうか。

そもそも、何が原因なんですか?

2年間も無視され続けるなんて。

 

 

「連れションです。」

 

 

連れション?

 

 

「女性名物のアレです。」

 

 

ああ、休み時間の恒例行事。

誰かがトイレに行くのなら。

したくなくても、一緒に行く。

 

それによって、友達であることを確認。

いわゆる「踏み絵」。

 

 

「中学時代、私も行ってたんです。」

 

 

連れションに?

 

 

「ええ。やっぱり仲間ハズレはコワいから。」

 

 

コワいですよね。

 

 

「けど、そのうち、耐えられなくなって。」

 

 

こんなの、意味あるのかって?

 

 

「そう。自分がしたくないのに。」

「なんで一緒に行かなければならないの。」

「そんなのが、ほんとの友情じゃないでしょって。」

 

 

たしかに。

 

けど、そういう世界がすでにできていると。

ひとりで反旗を翻すのは、ハードルが高い。

イカロスもびっくりの勇気ひとつをともにして。

 

 

で、えっちゃん。

連れション、やめたんだ?

 

 

「そう、かなり勇気が要りましたけど。」

 

 

要るよね~。

なかなかできないよ。

 

確実に波風が立つよね。

10代女子にとっては、心揺さぶられるドラマ。

そのうち、映画化されそう。

 

『えっちゃん、連れションやめるってよ』

 

で、2年間、村八分に?

 

 

「ええ。さらに、A先生と仲良くしてたので。」

 

 

一層、風当たりが強く。

そっかあ~、それはツラかったですね。

 

 

「でもね。」

 

 

でも?

 

 

「卒業前に。」

 

 

卒業前に?

 

 

「みんなが謝ってくれたんです。」

 

 

えっ。

 

 

「ずっと無視して、ごめんねって。」

 

 

あら。

まさかの。

 

えっちゃん、許せたの?

 

 

「うーん、ビミョーというか。」

「いまさら何よって。」

 

 

なりますよね。

 

えっちゃん、ありがとうございます。

そこまで話してくれて。

 

この話は、これまで?

 

 

「誰にも話したことはありません。」

 

 

ってことは、許せてなかったんだよね。

未消化のまま。

成仏できてなかった。

 

で、つながるよね。

 

 

「えっ?」

 

 

ほら、さっきの「死ねっ」って許せない子と。

 

 

「何がですか?」

 

 

その子は、できないのに、できる風に。

「装って」ましたよね?

 

 

「ええ。」

 

 

けど、えっちゃんは、装わなかったんですよね?

 

 

「ああ、連れションですか?」

 

 

ええ、連れションです。

その結果、村八分に。

 

気になるのがね。

聴けてないんですよ。

 

 

「聴けていない?」

 

 

ええ、「ツラかった」ですよ。

ひと言も言われてませんね。

 

10代の女子がね。

2年間、クラスメイトに無視され続ける。

 

教室に居場所がなくて。

用もないのに、職員室に避難。

 

ツラくないわけがないでしょ。

 

なのに、言われませんでしたね。

「ツラい」って。

 

 

無視され続けてもね。

自分の意に反して、連れションには行かない。

 

自分の意を最大限に尊重してね。

周りの顔色を見て、なびかない。

 

10代にして。

それを実践した自分に。

誇りを持ってるように観じました。

 

 

「ああ、それはあるかも。」

 

 

で、同時にね。

 

「ツラかった」

 

ことも事実だと思うんですよ。

なのに、そんな言葉がひとつもない。

 

まるで、認めたら、負けだ。

ひとりで頑張り続けた18歳のえっちゃん。

成仏できないみたいで。

 

 

私は、あんなにツラい環境で。

2年間、頑張り続けた。

自分の意に添わないことはしないって。

 

なのに、何よ、あなたは。

仕事ができないくせに。

できない自分を認められない。

 

行きたくないのに。

連れションしてるのと同じ。

 

 

自分でも不思議だと思いません?

なぜ、そこまで許せないんだろうって。

 

その子を許せないのは、18歳のえっちゃん。

 

18歳のえっちゃんを許してないのは、63歳のえっちゃん。

 

 

ツラかったんですよ。

18歳のえっちゃんは。

 

ツラかったねと。

 

ハグしてあげてください。

63歳のえっちゃんが。

 

 

「・・・ああ。」

 

 

でね、えっちゃん。

気づいてますか?

 

 

「何ですか?」

 

 

さっきから、連呼されてるキーワードが。

 

 

「えっ?」

 

 

わかりませんよね、きっと。

 

 

「うーん、思い当たりません。」

 

 

さて、えっちゃんが連呼してる言葉とは?

 

 

 

明日に、続く。

 

 

 

 

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