スペースがあるから。
週イチ非常勤の私立高校。
今日の授業のテーマ。
エッセンシャルワーカーについて。
ってことで、クロネコヤマトのドライバーさん。
いつもの『プロフェッショナル』から。
トップドライバーとして、
社内表彰を受賞しまくりの永澤康太さん。
その丁寧な仕事ぶりが、地域でも評判。
ついには、ＮＨＫが取材に来るまでに。
担当地域２０００世帯。
住民の顔、ほとんど覚えてる。
しかも、在宅時間まで。
他のドライバーに比べて、
再配達率が低い。
ヤマト運輸では、業界に先駆け、
ＡＩが配送順を設定。
最短ルートを導き出す。
コロナ禍で他業種からの転職者が多いためだ。
便利だし、安心だよね。
しかし、永澤さんは、鵜呑みにしない。
例えば、ラーメン屋さんへの「午前中」指定の配達。
ＡＩの配送順だと、１１：５０頃に。
「お店が混みだす時間帯ですから。」
配送順を変更。
１１：３０までに届ける。
遠回りになってもね。
細やかな気遣いは、それだけではない。
荷台に雨が入らないよう、
風向きと逆に停車したり。
幅員が狭い道をお年寄りが歩いていたら、
焦らさないように、ルートを変えたり。
柿の木が実る季節には、
垂れ下がる枝に当たらないよう、
わざわざルートを変える。
生徒たちもプロ魂に感心しまくり。
私に刺さったのは、こちら。
配達先の奥さん。
インターホン越しに「足をケガしてます」。
取りに行けないので、玄関先に置いてくださいと。
「承知しました。」
永澤さんの次のひと言。
「足、大丈夫ですか？」
これ、言える？
私は、言えないな。
荷物の置き場所など、
仕事に関する言葉を続けちゃうな。
段取りや効率よりも、
まず相手への気遣い。
私、何度も繰り返してきたの。
後から気づいてね。
「ああ」と、ため息をつくことが。
なぜ、まず、相手に気遣いの言葉を
かけられなかったのだろうって。
ふと思い出したのが、Ｎ先生。
小学校４年時の担任。
ホームルームで話してくれたエピソード。
電車に乗ってる時ね。
女性のスカートのチャックが
下がってたんだって。
Ｎ先生、勇気を出して、
「あいてますよ。」
声をひそめて、手で示す。
しかし、気遣いは通じず。
女性は、きっとにらみつけ。
プイと顔をそむけて、隣の車両に。
Ｎ先生、残念だったけど、
後悔はしていないと。
考えさせられるでしょ。
Ｎ先生の立場、女性の立場。
いろんな観方ができるよね。
なぜか、この話が記憶に。
４０年も前なのに。
永澤さんの「足、大丈夫ですか？」にね。
この言葉が、スッと出てくるのはなぜだろうと。
考えてると、ふと浮かんできたの。
Ｎ先生のエピソードが。
・・・ああ、スペースだな。
心にスペースがあるかどうか。
スカートのチャックがあいてること。
男性に指摘されてね。
女性は、恥ずかしさでアタマがいっぱいに。
Ｎ先生の気遣いを感じるスペース。
なかったんだろうな。
逆に、永澤さんは、スペースありあり。
荷物を届けることで、アタマがいっぱいならね。
「足、大丈夫ですか？」は、出てこない。
じゃあ、どうすれば？
まずは、気づくことから。
「嬉しさのあまり」って言葉もあるように。
ポジティブでも、ネガティブでも。
強い感情に一体化している時。
心にスペースはない。
特に、ネガティブは、要注意。
ポジティブな感情は、がっつり味わうのでね。
そのうち、抜けていきます。
抜けた後には、スペースが。
自分を客観視しやすい。
けど、ネガティブな感情は、
味わうことがツラいのでね。
相手を責めたり、言い訳したり。
直撃を避けるため、思考がフル回転。
感情エネルギーは、消化しきれず。
尾を引きやすい。
（・・・私は、いま、いっぱいいっぱいだな。）
強い感情が、少し落ち着いたその時。
そう観じられるもうひとりの自分。
意識しておきたいね。
「足、大丈夫ですか？」
自然に出てくる心のスペース。
持っていたいね。
今日は、これまで。
また、明日。
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