<その95>脳を洗うテクニック | まなブログ

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脈の変化でカラダの声を聴く『脈ナビ』による施術、セミナーをご案内しています。
大阪府堺市で鍼灸院を開業しています。
日々の気づきをつづります。

誰も抵抗できません。




「やっぱりアイスはコーンよね。」



Yさんもブルーベリーアイスを完食。


さらに、「午後ティー」でのどを潤されます。



ちなみに、「ストレート」ね。


私もストレート。


恋と紅茶は、ストレート。


多分、Yさんも(笑)



飲み終えられたYさん。


ペットボトルをそのままゴミ箱へ。


生ゴミと一緒。



「あっ、Yさん。」


「は?」


「分別しなくていいんですか?」



わが堺市でもね。


ペットボトルは当然分別。


大阪市も多分そうでしょう。



「ああ、大丈夫なんです。」


「えっ、大丈夫なんですか?」



そう云えばね。


Yさんが分別しているところ、見たことないや。



ペットボトルも、缶も、生ゴミも。


全て一緒。


ビンは、そもそも捨てないしね(笑)



人によって態度を変えないYさん。


そう、ゴミさえも差別されないのだ。




「けど、ゴミ収集のおじさんに云われませんか?」



次の瞬間。


マイルド・コントロールが発動。



「『あら、うっかりしてました。』って云ったらね。」


「はあ」


「大丈夫なんです。」


「・・・。」



それね。


世間一般では「大丈夫」って云いません。



どうやら、発症されたようですね。


Yさんのもうひとつの持病。



「突発性自己都合性記憶障害」



一定の条件下で突然発症します。


「最近、物忘れがひどくて。」


というセリフとセットで。




また、合併症として、



「突発性自己都合性難聴」



も併発されます。



「最近、耳が遠くなって。」


というセリフとセットで。



Yさんは、好奇心旺盛な方ですからね。


記憶力も抜群。



また、ご近所の噂話やスキャンダルなど。


東海林のりこ顔負けのデビルイヤー。



なのに、突然、発症されるんですよね~(笑)



原因不明。


「浪花の風土病」とも。



ブラックジャックもお手上げの不治の病。


まさに「あっちょんぶりけ」。



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感動冷めやらぬひと時。



「あっ、そうそう、カレーを忘れてたわ。」


「は?」



物覚え、いいじゃないですか。



って、キケンだ。


頭の中でアラームが鳴り響きます。



冷蔵庫からタッパーを取り出されるYさん。


うわー、たっぷり入ってるし。



デザートのアイスも食べ終えて。


今から、カレーはないでしょう。


ここは、「お話」に持ち込んで、危機を逃れましょう。



「ほおー、美味しそうな自家製カレーですね。」


「そお、りんごとバナナとワインも入れて。」


「盛りだくさんですね。」


「マンゴピューレでチャツネを。」


「そりゃ、本格的ですね。」


「でしょ~。このカレーはね。(後略)・・・。」



スパイシー・ドラマ『カレー一代記』が始まりました。


「はあ」


「ほお」


「そうですか」


右から左へスルーします。



「でも、残りはそれだけですか?」


「そお、いろいろ配りましたから。」



でしょうね。


作られる時は、大鍋ですから。


いつものI神社の社務所、銀行さん、出入りの業者さん。



「みなさん、喜んでおられたでしょう。」


「そおそお、今回はHくんにも。」


「Hくん?」



初登場だな。


誰だろう?



「向かいの交番のお巡りさんです。」


「へえー、お巡りさんですか。」



と云うのもね。


先日、事件が発生。


なんとタバコの自販機が壊されたんです。



どうやら、深夜にやられたみたいでね。


朝、起きたら、ケースが割られてたんですって。



幸いお金は盗られてません。


窃盗目的ではなかったようです。


キレただけなのかな?




当然、修理しなきゃいけないでしょ。


保険の関連もあるので、警察に。



Yたばこ店の向いは、公園でね。


その入口に交番が。




「じゃあ、すぐに被害届を?」


「い~え~、まずはHくんを呼んでね。」


「はあ」


「カレーを食べてもらいました。」


「は?カレーですか?」




ここから、始まるのです。


「マイルド・コントロール」の奥深き妙技が。




「そしたら、『もうご飯を済ませました』って。」


「何時頃だったんですか?」


「夜の8時頃かしら。」



そりゃ、食べてるでしょ。



しかし、そんなことはね。


Yさんには関係ありません。


免責対象にはならないのです。



<H巡査との会話を再現>



「だったら、お肉をたっぷり入れてあげるからね。」


「はあ」


「カレーだけで食べなさい。」


「・・・。」



スゴイでしょ(笑)


さすがYさん。



「もう一人いるんでしょ?」


「はい、二人です。」


「じゃあ、これくらいね。」



で、タッパーにてんこ盛りにしてね。



「いま、8時でしょ。」


「はい」


「9時までに食べて、タッパー返してね。」


「・・・。」



これまた、スゴイでしょ(笑)


H巡査が頼んだわけじゃないのに。


っていうか、お腹減ってないし。



まあ、どうされたのか知りませんが。


とにかく、9時に返しに来られました。



「ごちそうさまでした。」


「どう、お口にあいました?」


「はい、市販のカレーとは全然違いますね。」


「でしょ~。このカレーはね、(後略)・・・。」



で、ここからが本題。



「ついでに、頼みごとがあるのよ。」


「はあ」



自販機の被害について説明されます。



「・・・と云うことで、保険を使うのに被害届が要るのよ。」



H巡査は、実直な好青年らしくてね。



「では、被害届を提出する手順ですが・・・。」



ってかんじで、懇切丁寧に説明されたんですって。


届けに必要な項目とかね。


破損状況の写真が必要だとか。



「あら」


「ほお」


「そうなの」



で、ひととおり説明を受けた後にね。



「・・・で、最初にどうするって?」


「いえ、だからですね。」



以下にまとめてみました。



<被害届をラクに入手する手順>


1.H巡査を呼ぶ。


2.カレーを食べさせる。


3.タッパーをすぐに返させる。


4.被害について説明する。


5.H巡査が被害届の手順を説明する。


6.テキトーにあいづちを打つ。


7.H巡査が内容を確認する。


8.突発性自己都合性記憶障害を発症する。


9.再びH巡査が内容を説明する。


10.突発性自己都合性難聴を発症する。


11.H巡査が根負けするまで5~10を繰り返す。



以上



その結果、



「最後には、『僕が全部やります』って。」


「・・・。」




スゴイ。


スゴ過ぎる。



人間の可能性って、こんなにも無限だったのですね。


鳥人間コンテストもびっくりの未知なる領域への挑戦。




「取調室にカツ丼」


より


「Yさんにマイルド・カレー」



警察のお株を奪う自白誘導。


それでいて、決してカドが立ちません。



「やってちょーだい。」


ではなく、


「私がやります。」


と相手の口から。


あくまで、マイルド。



バナナやマンゴーで、味つけもマイルド。


「マイルド・カレー」



しかし、その実体は?



食べた時点で落ちたも同然。


「マイルド・コントロール・カレー」




さらに、まだ続きがあってね。



「で、Hくんにケータイの番号も教えてもらいました。」


「えっ、個人の携帯ですか?」


「だって、出勤日を確認しとかないとね。」


「・・・。」



そう、交番勤務は三交代制。


H巡査は常駐してません。



せっかく洗脳・・・いえ、協力してくれたH巡査をね。


Yさんが手放されるわけがありません。


闇金もびっくりの追い込みです。



これでH巡査もね。


「Yさん友の会」


へ晴れてご入会。



以後、食べることには心配いりません。


引き換えとして、


公私にわたって貢献されることでしょう。


・・・合掌。




もし、あなたが手作りカレーをごちそうになった時、


「ついでに、頼みゴトがあるんだけど。」


と云われたら・・・。


マイルド・コントロールの黒い霧。


今まさに、あなたを包み込もうとしているのかもしれない・・・。





- つづく -