今年の<賢治祭>(2017.9.21)の様子から(再現編) | とりとんのみやけん&SF&読書倶楽部

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■今年の<賢治祭>(2017.9.21)の<写真>が(<2015年>&<2016年>に続き)賢治祭の<HP>にアップされたので、一部を再現してみます。■

 

■■平成29年度<賢治祭>■■

■日時■平成29年9月21日(木)16:00~■

■場所■花巻市桜町「雨ニモマケズ」詩碑広場■

 

 

■16:00■献花■参加者献花(随時)■

■演奏:金星少年少女オーケストラ■

 

■16:30■黙祷■

 

■(花巻農学校)精神歌斉唱■指揮:大畠恵司■伴奏:佐藤司美子■

▲参考動画▲花巻農学校精神歌/一青窈▲

 

(一)日ハ君臨シ カガヤキハ
 白金ノアメ ソソギタリ
 ワレラハ黒キ ツチニ俯シ
 マコトノクサノ タネマケリ

(二)日ハ君臨シ 穹窿ニ
 ミナギリワタス 青ビカリ
 ヒカリノアセヲ 感ズレバ
 気圏ノキハミ 隈モナシ

(三)日ハ君臨シ 玻璃ノマド
 清澄ニシテ 寂カナリ
 サアレマコトヲ 索メテハ
 白亜ノ霧モ アビヌベシ

(四)日ハ君臨シ カガヤキノ
 太陽系ハ マヒルナリ
 ケハシキタビノ ナカニシテ
 ワレラヒカリノ ミチヲフム

 

 

■開会■

■朗読■「雨ニモマケズ」■宮沢賢治記念館学芸員:牛崎敏哉■

 

▲参考動画▲kizuna311 #01 渡辺謙「雨ニモマケズ」朗読▲

 

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ※(「「蔭」の「陰のつくり」に代えて「人がしら/髟のへん」、第4水準2-86-78)
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ

 

 

■挨拶■賢治祭実行委員長:宮澤啓祐■

■歓迎の言葉■花巻市長:上田東一■

 

■賢治さんに捧げる歌■ポラーノの広場の歌■南城小学校4年生■

 

▲参考動画▲「ポラーノの広場」作詞:宮沢賢治▲歌:ジョヴァンニ安東、岩手県岩泉町立大川小学校6年生(1990年)▲

 

 

■講話■「賢治さんの願い」(仮題)■宮沢和樹■

▲(賢治の弟の孫)▲

 

■(講話)■「世界に拡がる宮沢賢治」(仮題)■賢治学会代表理事:富山英俊■?

 

 

■朗読と合唱■

■(朗読)■「母に云う」■南城中学校■

▲(左から=3年生Sさん、Oさん、FKくん、FTくん)▲

 

三二九

  母に云ふ

        一九二四、一〇、二六、

馬のあるいたみちだの
ひとのあるいたみちだの
センホインといふ草だの
方角を見やうといくつも丘にのぼったり
まちがって防火線をまはったり
がさがさがさがさ
まっ赤に枯れた柏の下や
わらびの葉だのすゞらんの実だの
陰気な泥炭地をかけ抜けたり
岩手山の雲をかぶったまばゆい雪から
風をもらって帽子をふったり
しまひにはもう
まるでからだをなげつけるやうにして走って
やっとのことで
南の雲の縮れた白い火の下に
小岩井の耕耘部の小さく光る屋根を見ました
萱のなかからばっと走って出ましたら
そこの日なたで七つぐらゐのこどもがふたり
雪ばかまをはきけらを着て
栗をひろってゐましたが
たいへんびっくりしたやうなので
わたくしもおどろいて立ちどまり
わざと狼森はどれかとたづね
ごくていねいにお礼を云ってまたかけました
それからこんどは燧堀山へ迷って出て
さっぱり見当がつかないので
もうやけくそに停車場はいったいどっちだと叫びますと
栗の木ばやしの日陽しのなかから
若い牧夫がたいへんあわてゝ飛んで来て
わたくしをつれて落葉松の林をまはり
向ふのみだれた白い雲や
さわやかな草地の縞を指さしながら
詳しく教へてくれました
わたくしはまったく気の毒になって
汽車賃を引いて残りを三十銭ばかり
お礼にやってしまひました
それからも一度走って走って
やうやく汽車に間に合ひました
そして昼めしをまだたべません
どうか味噌づけをだしてごはんをたべさせてください
(校本全集3 春と修羅第2集校異より)

 

 

■(朗読)■「あすこの田はねえ」■花巻農業高校(3年・Sくん)■

 

一〇八二

  〔あすこの田はねえ〕

         一九二七、七、一〇

 

あすこの田はねえ
あの種類では少し窒素が多過ぎるから
もうきっぱりと水を切ってね
三番除草はやめるんだ
  ……車をおしながら
    遠くからわたくしを見て
    走って汗をふいてゐる……
それからもしもこの天候が
これから五日続いたら、
あの枝垂れ葉をねえ、
斯ういふふうな枝垂れ葉をねえ
むしってとってしまふんだ
  ……汗を拭く
    青田のなかでせわしく額の汗を拭くそのこども……
それから いゝかい
今月末にあの稲が君の胸より延びたらねえ
ちゃうどシャッツの上のボタンを定規にしてねえ
葉尖を刈ってしまふんだ
  ……泣いてゐるのか
    泪を拭いてゐるのだな……
……冬わたくしの講習に来たときは
    一年はたらいたあととは云へ
    まだかゞやかな苹果のわらひをもってゐた
    今日はもう悼ましく汗と日に焼け
    幾日の養蚕の夜にやつれてゐる……
君が自分で設計した
あの田もすっかり見て来たよ
陸羽一三二号のはうね
あれはずゐぶん上手に行った
肥えも少しもむらがないし
植えかたも育ち工合もほんたうにいゝ
硫安だってきみが自分で播いたらう
みんながいろいろ云ふだらうが
あっちは少しも心配ない
反当二石三斗ならもうきまったやうなものだ
しっかりやるんだよ
これからの本統の勉強はねえ
テニスをしながら 商売の先生から
きまった時間で習ふことではないんだよ
きみのやうにさ
吹雪やわづかの仕事のひまで
泣きながら
からだに刻んで行く勉強が
あたらしい芽をぐんぐん噴いて
どこまで延びるかわからない
それがあたらしい時代の百姓全体の学問なんだ
ぢゃ さようなら
    雲からも風からも
    透明なエネルギーが
    そのこどもにそゝぎくだれ

(校本全集6 詩ノートより)

 

 

■(朗読)■「山の晨明に関する童話風の構想」■(ざしきぼっこの会)中村留美子■

 

▲参考動画▲BlueDok 山の晨明に関する童話風の構想▲

 

三七五

  山の晨明に関する童話風の構想

                一九二五、八、一一、

 

つめたいゼラチンの霧もあるし
桃いろに燃える電気菓子もある
またはひまつの緑茶をつけたカステーラや
なめらかでやにっこい緑や茶いろの蛇紋岩
むかし風の金米糖でも
waveliteの牛酪でも
またこめつがは青いザラメでできてゐて
さきにはみんな
大きな乾葡萄レジンがついてゐる
みやまうゐきゃうの香料から
蜜やさまざまのエッセンス
そこには碧眼の蜂も顫える
さうしてどうだ
風が吹くと 風が吹くと
傾斜になったいちめんの釣鐘草ブリューベルの花に
かゞやかに かがやかに
またうつくしく露がきらめき
わたくしもどこかへ行ってしまひさうになる……
蒼く湛えるイーハトーボのこどもたち
みんなでいっしょにこの天上の
飾られた食卓に着かうではないか
たのしく燃えてこの聖餐をとらうではないか
そんならわたくしもたしかに食ってゐるのかといふと
ぼくはさっきからこゝらのつめたく濃い霧のジェリーを
のどをならしてのんだり食ったりしてるのだ
ぼくはじっさい悪魔のやうに
きれいなものなら岩でもなんでもたべるのだ
おまけにいまにあすこの岩の格子から
まるで恐ろしくぎらぎら熔けた
黄金の輪宝くるまがのぼってくるか
それともそれが巨きな銀のラムプになって
白い雲の中をころがるか
どっちにしても見ものなのだ
おゝ青く展がるイーハトーボのこどもたち
グリムやアンデルセンを読んでしまったら
じぶんでがまのはむばきを編み
経木の白い帽子を買って
この底なしの蒼い空気の淵に立つ
巨きな菓子の塔を攀ぢやう

 

 

■(合唱)■「耕母黄昏」他■花巻北高校(合唱部)■

 

▲参考動画▲耕母黄昏/一青窈▲

 

風たちて樹立さわぎ
鳥とびてくれぬ
子らよ待たん いざかへれ
夕餉たきてやすらはん

風たちて穂麦さわぎ
雲とびてくれぬ
子らよ待たん いざかへり
夕餉たきていこひなん

 

 

▲参考動画▲【MIGA】星めぐりの歌▲

 

あかいめだまの さそり
ひろげた鷲の  つばさ
あをいめだまの 小いぬ、
ひかりのへびの とぐろ。

オリオンは高く うたひ
つゆとしもとを おとす、
アンドロメダの くもは
さかなのくちの かたち。

大ぐまのあしを きたに
五つのばした  ところ。
小熊のひたいの うへは
そらのめぐりの めあて。
 

 

■(朗読)■「和風は河谷いっぱいに吹く」■花巻中学校(3年・Hさん)■

 

▲参考動画▲朗読宮沢賢治086和風は河谷いっぱいに吹く▲

 

一〇二一

和風は河谷いっぱいに吹く

            一九二七、八、二〇、

 

たうたう稲は起きた
まったくのいきもの
まったくの精巧な機械
稲がそろって起きてゐる
雨のあひだまってゐた穎は
いま小さな白い花をひらめかし
しづかな飴いろの日だまりの上を
赤いとんぼもすうすう飛ぶ
あゝ
南からまた西南から
和風は河谷いっぱいに吹いて
汗にまみれたシャツも乾けば
熱した額やまぶたも冷える
あらゆる辛苦の結果から
七月稲はよく分けつし
豊かな秋を示してゐたが
この八月のなかばのうちに
十二の赤い朝焼けと
湿度九〇の六日を数へ
茎稈弱く徒長して
穂も出し花もつけながら、
ついに昨日のはげしい雨に
次から次と倒れてしまひ
うへには雨のしぶきのなかに
とむらふやうなつめたい霧が
倒れた稲を被ってゐた
あゝ自然はあんまり意外で
そしてあんまり正直だ
百に一つもなからうと思った
あんな恐ろしい開花期の雨は
もうまっかうからやって来て
力を入れたほどのものを
みんなばたばた倒してしまった
その代わりには
十に一つも起きれまいと思ってゐたものが
わづかな苗のつくり方のちがひや
燐酸のやり方のために
今日はそろってみな起きてゐる
森で埋めた地平線から
青くかゞやく死火山列から
風はいちめん稲田をわたり
また栗の葉をかゞやかし
いまさわやかな蒸散と
透明な汁液サップの移転
あゝわれわれは曠野のなかに
芦とも見えるまで逞ましくさやぐ稲田のなかに
素朴なむかしの神々のやうに
べんぶしてもべんぶしても足りない

 

 

■(合唱)■「牧歌」「雨ニモマケズ」■桜町ママさんコーラス■

 

▲参考動画▲牧歌/手嶌葵▲

 

牧歌 

種山ヶ原の、雲の中で刈った草は、
どごさが置いだが、忘れだ 雨ぁふる、

種山ヶ原の、せ高の芒あざみ、
刈ってで置ぎわすれで雨ふる、雨ふる

種山ヶ原の 霧の中で刈った草さ
わすれ草も入ったが、忘れだ 雨ふる

種山ヶ原の置ぎわすれの草のたばは
どごがの長嶺で ぬれでる ぬれでる

種山ヶ原の 長嶺さ置いだ草は
雲に持ってがれで 無ぐなる無ぐなる

種山ヶ原の 長嶺の上の雲を
ぼっかげで見れば 無ぐなる無ぐなる

 

 

■野外劇■「どんぐりと山猫」■花巻南高校(演劇部)■

▲冒頭「狼森(おいのもり)と笊森(ざるもり)、盗森(ぬすともり)」シーンもあり会場と掛け合いも▲

 

■鹿(しし)踊り■「一番庭」■花巻農業高校(鹿踊部の女生徒のみ)■

 

▲参考動画▲花農春日流鹿踊 H29 9 23 スカイフェスタ(1回目)▲

 

■みんなで歌いましょう■指揮:大畠恵司■伴奏:佐藤司美子■

▲「星めぐりの歌」などを歌ったみたい▲

 

■20:30■座談会■「私にとっての賢治さん」■以上■

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