なにも考えないというのは 

 

ほぼ できない 

 

考えるのは 僕らの 

 

行動の設定で その

 

始めにやることだから 

 

考えないで なにかを 

 

しようとしても 思い返す

 

思い返してしまう 

 

なにを しようとしていたか と 

 

考えないで 行動するという 

 

その場合や そんな人は 

 

ヒントくらいの行動を 考え 

 

それだけで  準備もなく

 

行動する 

 

まれには  それが必要なのは  

 

緊急で 重要な場合で 

 

待ったなし だから  

 

 

ここで 見つめたいのは 

 

まったく ヒントもなく 

 

考えずに  行動する

 

というのが  可能なのか 

 

できたことがあるのか 

 

思い出すことだ 

 

そうして 

 

時間は 経ってみる が 

 

思い出せない 

 

たとえ  そういう行動を 

 

したことがあっても

 

たぶん 僕らの 記憶には 

 

残らないのではないか 

 

 

知識を 伝えることで 

 

僕らは 文明・文化を 

 

育て 発展させてきた 

 

知識を 残すために 

 

僕らの 記憶は必要なもので 

 

貴重と 考えられた 

 

 

でも 

 

僕は  こうして 坐っている 

 

坐って  夜に  いる 

 

これは 何だろうと 

 

考えてみる 

 

こうしていることで  なにかを 

 

しているのだろうか と 

 

そして すぐに わかるのは 

 

こうして 自分を 

 

慰めているような 気分だ 

 

自分で 話しかけているのは 

 

自分で 

 

いつものような 対話だが 

 

そう考えるまでは 

 

同じことを  しているとは 

 

感じない 

 

微妙な すれ違いが  

 

ここに ある 

 

考えは  坐っている状況を 

 

把握するので  その形から 

 

判断するが 

 

以前の 状況も  同じ

 

この 今を 

 

僕は  違うというか 

 

同じではない と  

 

感じる 

 

まるで 過去にも 

 

今いるように その過去の

 

未来が 今であるなら 

 

今が  未来だとさえ 

 

感じられるのは 

 

なぜ だろう 

 

 

考える立場と 

 

感じる立場には 

 

見つめてみると 明確な 

 

乖離 がある 

 

状況把握する 力と 

 

状況を感じる 力は 

 

同じものではない 

 

そして 

 

人は 誰も 

 

その片方だけを 

 

言いたがる 

 

 

静かなピアノが 流れるが 

 

音源に  雑音を 

 

残し 

 

人の 話し声が 聴こえる 

 

考える力は  これを 

 

うるさく 思い  

 

感じる力は これが 

 

音楽の一部だと 

 

街の 雑踏の中に いて 

 

聴いている 

 

または  そこにある 

 

話し声、という音と 

 

して 

 

 

なにかの ためにあるものと 

 

なにかの ためではなく 

 

あるものは 

 

それ そのものでも 

 

僕らは 初めから 区別する 

 

そういう 癖を 持っている 

 

そうして 

 

動物から  大人に なって 

 

動物の 愛も 

 

幸福も あるのか ないのか 

 

わからなくなる 

 

 

僕らは  どうしても 

 

ひとりに なれない 

 

たとえ ひとりでも 

 

助けがない時で さえ 

 

家族や 人の 記憶だけで 

 

生きて行ける 

 

ひとりでは ないから 

 

 

ライオンを 研究する 

 

夫婦の 動物学者 

 

鉄の檻の中で  暮らす 

 

ライオンと トラブルに 

 

ならないために 

 

会話は するが 

 

彼らは ひとりだった 

 

アフリカから 帰国すると 

 

会う人ごとに 

 

喋り まくった 

 

ライオンとの 会話で 

 

人との 会話に  飢えていたのだ 

 

生きるとは  この関係性の

 

こと で 

 

会って  話すこと

 

ただ 人々の中に いれば 

 

生きている、というのではない 

 

 

ライオンに 子供が生まれ 

 

その 子ライオンには  

 

どこで会っても 会話する 

 

生まれてから その夫婦を 

 

見てきた 子ライオンには 

 

彼らは 友人で 

 

我らの エサ ではないと思っている

 

鉄の檻の外でも 

 

襲われない 襲わない 

 

それが  関係性だ 

 

 

僕らが どういう関係性を 

 

保つか 

 

それが 僕らが 

 

どういう 生き方を  したか 

 

してきたか 

 

そこに  人生の

 

焦点が あるのだが  ・・ 

 

 

夜に 

 

僕は  ひとり 

 

考えるようで  考えず 

 

ただ  感じるままに 

 

ここに  いる 

 

ここに いることの 

 

得も言えぬ  清らかさの 

 

澄み切った  大空 

 

脱いだ ズボンのすそが 

 

扇風機の 頭に掛かった 

 

その迷惑そうな  様子 

 

音楽を 聴くと 

 

窓用  冷風扇の 

 

小さな 轟音は 聴こえない 

 

気がつくと 

 

両方を 聴いている 

 

自分も  いる  

 

そこに いたのかと 

 

変に 安心する 

 

僕からしか 生まれないと 

 

言っても 

 

あまり 遠くへ 行くなと 

 

言ってやる 自分は  

 

もう 

 

(僕の)自分に 戻っている 

 

 

夜は  続き  

 

こんな 優雅な  夜は  

 

もう 明けないみたいだ 

 

このまま 

 

続く と

 

突然 

 

しあわせに 包まれると 

 

すべてが  すべてに 

 

なる 

 

それは  それを感じる 

 

人が  その世界の

 

すべてで あること 

 

だから 

 

なにもいらなくなる 

 

その人が  その人である 

 

という それが 

 

すべての  事実 あること

 

他は 

 

なんでもなくなる 

 

僕は  僕である という 

 

僕でさえ  なくなってしまい 

 

すべての 山岳の 中心に 

 

坐り 

 

すべての  海面の 上に

 

揺られ 

 

それらに  なり ゆく 

 

 

君は 

 

どこに いるのか 

 

 

僕は 

 

ここに 

 

夜の 下に 

 

 

いつか 

 

 いつも 

 

誰でも 

 

 いつでも 

 

 

果てなく 

 

 

生きることを 

 

謳歌 したい