喋りたい 

 

ほんとにそれだけなのを・・

 

思う。

 

手を、ダ・ヴィンチのような描写

 

の手を描きたいと思う。

 

音だけはしている、バッハの音楽

 

の音だけは、スピーカーから。

 

音だけを楽しみたいのだろうか。

 

その演奏者の姿勢や背中の動き

 

という臨場の演奏はなくてもいい

 

のだろうか。そんないつもは考え

 

も思いもしないことを思いつく。

 

夜に近くへ車で出かけようとして、

 

雨が降って来たのでやめてしまう。

 

経済の本を読むつもりのなかった、

 

しかも明日返却する予定の本を

 

読んでもいいな、と思うと、喜び

 

が湧いてくる。それが大層に自由な

 

行動に感じられたからだろう、それ

 

をなんと呼ぶのか。その釣れた喜び

 

のあとにどうせ川に放してしまうの

 

だ。それをキャッチ&リリースと

 

言うから「本のキャッチ&リリース」

 

と呼ぼうか。

 

五島列島の島生活では、海の魚が

 

淡水に慣れるか、川の少し上の

 

砂防ダムの池にリリースしたことが

 

あった。その海魚が淡水に定着した

 

のかどうか、確かめられる前に、

 

コロナで帰り、ついに島に帰ること

 

はなくなってしまったので、リリー

 

スで気になるのはそのことぐらい

 

だろう。

 

 

釣りが好きだったらよかったなと

 

思うことがある。釣り場は探せば

 

いくらでもありそうだし、半分だが、

 

自然相手に過ごすには手ごろな環境

 

だろうからだ。

 

だが、子供の頃から叔父さんに連れ

 

らえて従弟と一緒によく海へ行った

 

が、その時から自分が釣りに興味が

 

ないのを知っていた。釣りには結構

 

行くのだが、自分のその無関心な感情

 

をちょっと他所に置いて、準備に集中

 

するようにしている。大抵、孫を連れ

 

て行くからだ。一人で行くのはまれだ。

 

 

植物図鑑や鳥の手帳などは持っている

 

が、魚の図鑑は買っていない。魚は

 

食料のために釣ることにしている、と

 

しているが、本気ではない。

 

ところが魚は最も早くから、生物の

 

中で面白い習性を現わして見せた種

 

だ。島の生活でも新しい親子の生態を

 

発見して随所で感心していた。

 

釣り糸の先にはエサの中に怖い針が

 

ついているのを教える先輩の魚(親?)

 

が初心の魚に実践講義をしたのを見た

 

こともある。(島の海で)

 

ある晩、いつ魚は眠るのか、夕方から

 

ずーっと相模川で釣りをしていて、

 

大物の鯉、これは糸が切れてしまって

 

釣りあげられないから釣れると困る、

 

その赤い鯉についていた黒い若い鯉

 

が、釣り針のエサを嗅ぎまわってから、

 

赤い鯉に報せたらしく、赤い鯉が来て

 

釣れてしまった。と言っても無理なの

 

で、糸をこちらから切ってやった。

 

その日の魚たちは午後10時から寝に

 

入ったようだった。それからはザリガ

 

ニとか・・・が活動し始めたらしい。

 

若い鯉はその赤い鯉の子なのか、子分

 

なのかそういう上下関係にあるのは

 

明らかだった。魚だけでもいろいろと

 

社会関係があるのに意外な感じがした。

 

 

フグが釣れると釣りは終いになる。

 

その後はほぼフグばかりしか釣れない

 

から。島で一体どれくらい続くのか、

 

試したが、その数は忘れてしまった。

 

6匹は確実で、うろ覚えだが、13匹

 

くらい連続で釣ったのではないか。

 

 

それは日本で一番見られるクサフグ

 

のことで、毒があるのだが、大家の

 

元漁師の人はクサフグは食べられるし、

 

よく食べると言っていた。どういう

 

ことか詳しく聴くべきだったが、食べ

 

ようとは思わなかったので、尋ね逃し

 

た。

 

クサフグの子は島の家の前の、幅2m

 

用水路の川に上げ潮になると潮と一緒

 

に上って来た。20匹はいたろうか、

 

小さい。波が引くと後退して、波が

 

上げるとまた上ってくるのをくり返す。

 

少し大きくなると5,6匹を連れて親

 

が一緒に堤防から沿って続く防波堤

 

の道の脇を泳いでいる。訓練なのか、

 

慣れさせる教育なのか、そういう

 

ことは連関して見られる。

 

歯が鋭いので、引きが遅いと針ごと

 

呑み込まれ、糸を切られるし、針を

 

外すのも噛まれる時があるので、

 

難儀するので、クサフグが釣れるの

 

はやっかいなのだ。だが、引きは

 

単純でわかりやすく、タイミング

 

さえ合えば、その姿を見るまでは

 

引きの釣りを楽しめる。

 

 

クサフグは日本中、どこにでもいる

 

から、食べられるならば、刺身に

 

して食べたいが、どうだろう、簡単

 

な調理をほんとうに研究するほど、

 

その気になるだろうか。あのナマコ

 

を最初に食べてみようとした人が

 

いたくらいだから、クサフグも大いに

 

食べられて絶滅種になる日が来ない

 

とも言い切れないだろう。・・・が、

 

その前に養殖されるのか。

 

 

フグ 食えば 

 

舌が すぐ浮く 

 

毒の 兆候は 

 

歯に 刺さる か