薫のたくらみ | ゆうぎりのブログ

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万葉集と源氏物語から切り取っていきます。

中納言の君は、古人の問はず語り、

みな、例のことなれば、おしなべて

あはあはしうなどは言ひひろげずとも

いと恥づかしげなめる御心どもには

聞きおきたまへらむかし、と推し

はからるるが、ねたくもいとほしくも

おぼゆるにぞ、またもて離れては

やまじ、と思ひ寄らるるつまにも

なりぬべき。

 (源氏物語 椎本の巻より)

 

「薫」の出生の秘密を知る老女房の「弁」

は、薫に昔話を語っています。話を聞き

ながら、薫は、考えています。

こうした老人の問わず語りは、世間一般の

ことだが、誰にでも軽々しく言いふらしたりは

しないだろう。しかし、姫君たち(八の宮の娘姉妹)

は、秘密を知っているのではないだろうか。

私が光源氏の子ではなく「柏木」の子である

という秘密が、世間のうわさにならないように

やはり、姫君たちを私の味方にしておくべきだ

と、思い立った。

 

薫は、とても実直な性格というイメージ

ですが、案外、腹黒い面もあるのかも

知れません。