その方は、仕立ての良いイエローベージュ系のハットと同素材のスーツを着ており、慣れた様子でスッと本棚から本を手に取り、近くの椅子に腰かけました。
「よく来られるんですか?」
と声をかけると、
「ええ、時々来ます。」
と答え、そこから手に取った本の話になった。
物腰柔らかく穏やかな表情・口調で、
稲盛和夫さんの『生き方』という本の
P160~素晴らしい事が書いてあるという。
よくよく尋ねると、今は引退したが会社経営をされていて、社名こそ言われなかったが沢山の苦労もしてきたよう。
私は今の仕事を続け、リアルな現場の声を聴く中で、社会的な流れや人が今求めているものを感じて湧いてきた腹からの違和感が拭えなくなってきた時期。
「今、世の中にないものを作る仕事をするんですよ。」
と、年配紳士はにこやかに言う。
その言葉を聞いて、とても腑に落ちた。
「また、お会いしましょう。」
あれから、約1ヶ月。
年配紳士と、あの場所で再会したのだ。
偶然は必然。
自ら創っている世界なのだから。



















