{DF6F1ED8-A8DF-408E-AE25-148B27956ED1}

 

下北沢・本多劇場にて、ヨーロッパ企画さんの舞台を観劇してきました。もう、とんでもない大傑作です。この夏いちばんの思い出。笑いすぎてほっぺとおなかが筋肉痛に。あらゆるシーンのひとつひとつを思い出すたびに心がふるえます。

http://www.europe-kikaku.com/projects/e37-38/

 

感想を書きますが、内容に関するネタバレはしていません。

 

映画にもなった、タイムスリップ・コメディの金字塔『サマータイムマシン・ブルース』の再演と、その15年後を舞台にした新作『サマータイムマシン・ワンスモア』。2公演連続で観ることができた、贅沢な1日でした。誘ってくれた山田はるかさんも言っていたけど、タイムマシンがあるなら時間を戻してもう一度観たい。まさにそれ。




 

内容は、大学のSF研究会とカメラ部の部室に突然タイムマシンが現れて......というお話。

映画版ももちろん大好きだけど、昨日は「舞台だからこそすごい」という部分を大いに感じました。映像だったら、タイムマシンがいきなり現れるのも消えるのも、自分がふたり存在するのも、CGなり編集なりである意味やりたい放題ですよね。舞台では、暗転を利用して観客の目の前でタイムマシンを消したり(目をこらしても消えるところが全く見えなかった)、役者さんが退場してすぐ別の場所から違う時代の自分として現れたり、同じセットを少しずつ変えて別の時代を表現したり......。物語に没頭しつつも、演出の工夫に感動しっぱなし。観客も、同じ役者は1人しかいないとわかっているから、最初は共犯関係というか早着替えをメタで笑ったりもするんですけど、気づいたら同じ人が同じ場所に何人もいる、ということのほうを信じてしまっているんです。役者さんのすごさだなぁ。脚本、セット、演出、演技、すべてにおいて、知恵と工夫と人間力を見せつけられる舞台です。

 

タイムトラベル作品にある「(時空の)ズレ」と「それに伴う緊張感」という要素は、きっとそのまま、「笑い」の必須項目でもある。コメディの中で単に一つの事件としてタイムトラベルが起こる作品は数あれど、サマタイはコメディの世界にタイムトラベルがありつつ、さらに、タイムトラベルのシステムにコメディが組み込まれて、その相乗効果で感動するほどの笑いが生み出されている。何言ってるかわからなくなってきた。

そしてこの2作が世の中の他のタイムトラベル作品と比べてもうひとつすごいところは、タイムトラベルの最初の動機が圧倒的にくだらないこと。はじめは「昨日に行って壊れる前のエアコンのリモコンを取ってくる」だもん。そのくだらなさの中にドラマが起こり、人生の岐路もあり、運命ってなんだろうっていう哲学まである。夏のとある平和な1日に、過去も未来もある。一瞬の中に永遠があるって、こんなかんじだ。


続編のワンスモアは、前作以上に複雑な伏線が張り巡らされまくり&回収されまくりで超痛快でした。込み入ったルートに並べられたドミノ倒しを見ているよう。わたし、自称・タイムトラベル研究家ですけど、こんな作品ほかにないです。1つの作品にあったとしても1個か2個の「そこがつながるのか!」という気持ちいい驚きが、大小あわせて体感的に100個くらいあった気がする。時事ネタもいっぱい入っていて、でもそれが全てちゃんとキーになっていて。天才だなぁ。ブルースでいちばん面白いなあと思ったタイムスリップに関するとあるギミックがあったんですけど、ワンスモアではそのネタが何倍にも膨らんでいました。名作のあとの続編ってハードルが高いはずなのに、さらに面白いと言ってもいいぐらい、パワーアップしてた。気づいていない伏線もたっぷりあるはずだし、何回も繰り返し観たい。思い出すたびにため息がでます。

 

あー、こんなに書いてもまだぜんぜん、その魅力を表現しきれていないです。もどかしい。とにかく大傑作で、観られたことが本当に幸福でした。今後の全国ツアー、ほぼ完売しているけれど、北海道などでわずかに残っているチケットや、いつか発売されるであろうDVDなど、何かのチャンスでみなさんに観て欲しいです。

 

以上です!!!