マザー・グースはかく語りき

 

 

有名税 金の卵を産むガチョウ

先日ネット・ニュースを読んでいて、野球選手の大谷翔平さんの親族は、マスコミの記者に冷たい(愛想が無い)と言うのがあった。
 

昔、自分はテレビドラマの脚本やシナリオの勉強をしに放送作家教室というのに通ったのだが、そこで知ったお話に、日本映画全盛の昭和初期に銀幕のスター女優原節子さんが、ある時その所在が忽然と不明になる様な去り方で芸能界から消えたというものと、昭和の寅さんの映画で有名な渥美清さんは撮影所から自宅へ帰るのにいつもどこか他所へ寄り道をしてから必ず帰ったという話があった。
 

これらはファンのストーカー対策のためです。(集団)ストーカーは昔からあった!先日、体調不良が取り沙汰された元SMAPの中居くんのお母さんは神奈川県内のお商店にお勤めだったのだそうだが、中居くんのお母さんというだけで、世間の人々の注目を始終集めたという話を聴いたことがある。地元情報ネタとして自分は知った。山口百恵さんや福山雅治さん、筒井康隆さんに到っては或る日、暴漢や熱狂的なファン、知らない他人が家の中にいたという話もある。

先日、英国の伝承童謡「マザー・グース」の本の事を書いたけど、この間亡くなったノーベル文学賞作家の大江健三郎さんが、生前好きな本として上げたものに「ニルスの不思議な旅」があった。これはスウェーデン(ノーベル賞を設けている国)の教科書にも載っていたという、北欧やヨーロッパの伝承的な話をまとめたもの。
 

ニルスと言う少年が鵞鳥(ガチョウ)の背に乗って旅をする話であるがそこにも、またドイツのグリム童話や日本の戦国時代にポルトガルから伝わったといわれるイソップ物語にも出てくる話に「金の卵を産むガチョウ」というのがある。「マザー・グース」(=ガチョウおばさん)にも勿論ある。

余談であるが、噂に聞いた話に小説家の筒井康隆さんは、巨匠ミレーの「鵞鳥番の少女」という絵をお持ちだとか…。

自分が幼い頃に絵本で見た話に少年がガチョウをかたわらに抱えて歩いていると、それは金の卵を産むガチョウだとウワサが飛んで町中の人々がガチョウに触ろうと手を出して、その手が離れなくなり、少年の後を人々がぞろぞろ連なって歩く有り様を描いたものだった。

イソップ物語の金の卵を産むガチョウは、強欲な男がついに金の卵を産むガチョウを発見したと思いその鳥の腹の中には黄金があるのだろうと、卵を産むのを待ちきれずに腹を引き裂いてしまう。そして只ガチョウが死んだだけだったと云うもの。

大江健三郎さんが「ニルスの不思議な旅」を取り上げたのはスウェーデンちなみなのか、はたまた東大在学中に芥川賞を受賞して鮮烈デビューをし、ノーベル文学賞受賞に到った一連のマスコミの喧噪を体験したことからなのかな?とふと想う。

先日取り上げた北原白秋訳「まざあ・ぐうす」角川文庫の第一編目に取り上げられている詩歌は「こまどりのお葬式(おとむらい)」である。
 

誰が殺した、コックロビン(こまどりのオスを)♪
そこから生まれた「クックロビン音頭」なんてのが日本にはあるけどね!

PS. 本日は小説家・村上春樹さんの六年ぶりの新作長編小説が発売になった。
「街とその不確かな壁」2,970円 というのだそうだ。