タイ内務省は、外国人によるタイ国籍の不正取得や、いわゆる「灰色資本」、外国人名義貸しネットワークによる制度悪用を防ぐため、1965年制定の国籍法(พระราชบัญญัติสัญชาติ พ.ศ. 2508)を含む国籍制度の大幅な見直しを進めています。タイ政府広報局(PRD)が2026年9月17日に明らかにしました。
外国人の不正な国籍取得が背景
政府広報によると、今回の見直しは、タイ国籍を不正に取得した外国人が違法ビジネスや国際犯罪に関与したとされる複数の事件を受けたものです。
タイではこれまで、国籍や身分登録の手続きの複雑さにつけ込み、当局者への賄賂、他人の身分の悪用、国境地域の少数民族などが持つ権利の不正利用、出生記録の偽造などによって、資格のない外国人がタイ人として登録されるケースが問題となってきました。
不正に作られた身分情報を利用して当局の審査を通過し、タイ国内で事業活動などを行う例も確認されているとしています。
公務員と不正業者の癒着も問題に
国籍・身分登録をめぐっては、行政当局者が不正取得を仲介するグループと結びつくケースも摘発されています。
2025年にはチェンマイ県で、本来は永住資格を得られる少数民族などの人物の身分情報に、資格のない外国人を不正に結び付け、タイの身分証明書などを取得させた疑いのあるネットワークが摘発されました。
また2026年5月には、中国人男性がタイ国籍を取得した経緯について、公共部門汚職防止委員会(PACC)と地方行政局が調査に乗り出すなど、外国人による国籍取得の適法性をめぐる問題が相次いでいます。
具体的な改正内容は今後明らかに
政府は、制度上の抜け穴を塞ぎ、不正な国籍取得を支援するネットワークを排除することで、国家安全保障とタイ国籍制度への信頼を守る方針です。
一方、9月17日に公表された政府広報では、どの条文をどのように変更するのか、不正取得防止のために新たにどのような審査を導入するのかといった具体的な改正内容までは明らかにされていません。
なお、現在の国籍法は1965年に制定されましたが、その後まったく変更されていないわけではなく、2008年の国籍法第4号、2012年の第5号などによる改正も行われています。
今回発表された見直しが、一般の外国人による正規の帰化申請や、タイ人との婚姻を理由とする国籍取得の条件にどの程度影響するのかについても、現段階では詳細は示されていません。
※出典 PR Thai Government「Thailand Moves to Overhaul Nationality Law Amid Fraud Concerns」 Public Sector Anti-Corruption Commission(PACC) PACC「Fact-Finding Inspection in Bang Khae over Thai Nationality Acquisition」
(タイランドニュース 2026年9月18日)
