事務所では
そりゃたいそうなメンツが
待ってましたよ。
呼ばれる理由は勿論、
ケジメっすよね。

テーブルには既にその
“ケジメセット”
が置かれていた。

今俺の手には、指はちゃんと全て
付いている。

ならば、どうやってその場を乗り越えたのか………








幹部:「小僧ォ。今回は、どえらい事してくれたなァ。わかってんだろうな?」

俺:「エンコ落とすんすか?」

末端A:「テメーェ誰にそのクチきいてんだコラッ!」
俺:「………。」


その後、後頭部に凄まじい衝撃が走り灰皿で頭をどつかれた事を認識した。

流血していた。

幹部B:「子供だからって容赦しねえのよ?自分で落とすか、落としてもらうか………決めろや。」

果たして俺の選択肢はそれだけなのだろうか。

俺はもう既に自分の血を見てキレてたんだな。
どうせ落とされんなら、その前に誰かを刺してやろうと思っていた。

目の前に置かれたドスを手に取り、

「俺に恐いもんなんて無いっすけど…………
指ツメた後にこの馬鹿を殺してパクられるなら、兄貴の代わりにやっときゃよかったよな。」


末端A:「ギャーーーッ。」


俺、末端の太股、刺しました。笑

この場で俺の命を落とさなきゃ、オマエ等全員にこの世のものとは思えない悲惨な仕返しを

カ・ナ・ラ・ズ・ス・ル。
やってみろよ。


そう言ってドス置いた。

多分殺されるだろう。
よくても袋叩きに違いない。
そんな事を内心考えながら動揺を悟られまいと必死で周りを睨み散らす中で

ざわめく周りの声と末端の悲鳴の中でそろそろ来ると感じた瞬間。



「オマエの目は
本気でする目だ。
以後、組には顔出すな。」

と、親父の止めが入る。



俺は…………

卒業までの残りの時間を友達だった奴等の偏見の目の中で単位所得に費やし

学校共々卒業し、


その半年後
たまたま街で再会した同級生が、バンドをやらないかと誘ってきた。


半年間国内で活動した後に俺達の夢は膨らみ


渡米に至る事になる。

(サウスブロンクス篇に続く。)
事件とは、
ヴィトンの中身を
使用するか、しないか
の瀬戸際。

色々な仕事をこなしてきたが、兄貴が、まさか俺に“後始末”を頼む訳ないだろうと、耳を疑った。

「大丈夫。出てくる時は、幹部だ。」

今思い返しても、

笑わせる。

一度も歯向かった事など無かったんだ。

義理と恩があったから。



断った俺の代わりに兄貴は、

自ら実行し入所。

その後、俺は事務所に呼ばれる。

何故その時期の記憶が鮮明なのか。

それは、初めて社会に出た子供の目には、裏の全てが刺激的だった。

ソプラーニのスーツ。

ブルガリの腕時計。

グッチのサングラス。

ヴィトンのセカンド。

中には、六発

出たばかりのセルシオのハンドル握り
後部座席に世話役。

果てはキティーちゃんのバック持った俺より年上の薬中女まで渡された。

そして“仕事”も。


噂はすぐ廻り、学校では高校生ヤクザと評判だったな。

欲しくて手にしたもんじゃないが、

その時、

何が欲しいものか

分からなかったんだ。

たぶん、自分を必要としてくれてる事が、

嬉しかっただけ。


手にしたら、わかった。


俺は何不自由無い絶頂期と思われる18の夏、ある事件を起こす事になる…


(本末転倒日記 pt.3に続く)