何故その時期の記憶が鮮明なのか。

それは、初めて社会に出た子供の目には、裏の全てが刺激的だった。

ソプラーニのスーツ。

ブルガリの腕時計。

グッチのサングラス。

ヴィトンのセカンド。

中には、六発

出たばかりのセルシオのハンドル握り
後部座席に世話役。

果てはキティーちゃんのバック持った俺より年上の薬中女まで渡された。

そして“仕事”も。


噂はすぐ廻り、学校では高校生ヤクザと評判だったな。

欲しくて手にしたもんじゃないが、

その時、

何が欲しいものか

分からなかったんだ。

たぶん、自分を必要としてくれてる事が、

嬉しかっただけ。


手にしたら、わかった。


俺は何不自由無い絶頂期と思われる18の夏、ある事件を起こす事になる…


(本末転倒日記 pt.3に続く)