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「私はダメな人間だ」

という声は、

本当に

“自分”なのでしょうか


はるのりです。

前回は、

「後悔すること」と
「自分をダメな人間だと決めつけること」は、

実はまったく別のものですよ、

というお話をしました。

今日は、そこからもう一歩。

「後悔している自分」と「自分そのもの」を、どうやって切り離していくのか。

そんな話をしてみたいと思います。

ちょっと心理学っぽい話も出てきますが、大丈夫です。

途中で難しい横文字も登場しますが、

噛みついてきませんので安心してください(笑)。


頭の中の声を、

そのまま“自分”だと思っていた


拘置所の独居房にいた頃のことです。

一人でいる時間が長いものですから、頭の中では、いろいろな声が聞こえてきます。

と言っても、本当に誰かの声が聞こえるわけではありません。

自分の頭の中の声です。

これがまた、なかなか厳しい。

「お前は終わりだ」

「もう誰にも顔向けできない」

「生きている価値なんてない」

……。

今思えば、

頭の中に、ものすごく口の悪い評論家が住んでいたようなものです。

しかも24時間営業(笑)。

当時の私は、その声を、

「これこそ本当の自分なんだ」

と思い込んでいました。

だから苦しかった。

逃げようとしても、

相手は自分の頭の中にいるわけですから、

逃げ場がありません。




心理学を学んで、

「あれ?

 この声って私じゃないの?」

と気づいた

後になって心理学を学ぶ中で、

ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)という心理療法を知りました。

その中に、

「認知的フュージョン」

という考え方があります。

名前だけ聞くと、

何だかロボットアニメの必殺技みたいですが(笑)、

意味はそれほど難しくありません。

頭の中に浮かんだ「考え」を、

まるで「事実」や「自分自身」であるかのように、

ぴったりくっつけてしまうことです。

たとえば、

「私はダメな人間だ」

という考えが浮かぶ。

本来なら、それは、

「私はダメな人間だ、という考えが今浮かんでいる」

だけなのです。

ところが、

思考と自分がくっついてしまうと、

「私はダメな人間だ」

が、

いつの間にか、

「これは事実です!」

みたいな顔をして居座り始めます。

しかも、けっこう堂々と(笑)。




思考は、天気みたいなもの

私は以前、本の中で、

「思考は空を流れる雲のようなもの」

という表現を知りました。

これは、とても分かりやすいと思っています。

雲は出てきます。

黒い雲もあれば、

白い雲もある。

雨を降らせる雲もあれば、

気がついたら消えている雲もあります。

でも、

空そのものはなくなりません。

思考も、それと似ています。

「私はダメだ」

「あの時こうしていれば」

「もう遅い」

そんな考えが浮かんできても、

すぐに、

「はい、それが真実です」

とハンコを押さなくてもいいのです。

「ああ、またこの考えが来たな」

「今日は“私はダメだ雲”が出ていますね」

くらいでもいい。

天気予報みたいに眺めてみる。

「本日の心のお天気、午後から自己否定の雲が広がるでしょう」

……くらいの距離が取れたら、少し楽になります(笑)。




「私はダメだ」ではなく、

「そう思っている私がいる」

この違いは、小さいようで大きいと思います。

「私はダメな人間だ」

と言うのと、

「私は今、自分をダメな人間だと思っている」

と言うのでは、

ほんの少し距離があります。

でも、この“ほんの少し”が大切なのです。

思考と自分の間に、

小さなすき間ができる。

すると、

「もしかしたら、これは事実じゃないのかもしれない」

と思える余地が生まれます。




あの独居房にいた自分に、

今ならこう言いたい

もし、あの頃の私のところへ行けるなら、

こんなふうに声をかけたいと思います。

「お前は終わりだ」

という声が聞こえても、

それは未来を予言している神様の声じゃないよ。

ただ今、

そういう考えが頭の中に浮かんでいるだけだよ。

「生きている価値がない」

という声も、

あなたという人間の価値を決める判決文ではない。

頭の中を一時的に通過している、

一つの思考なんだよ、と。

当時の私は、

そんなこと、とても信じられなかったかもしれません。

でも、

もしほんの少しでも、

「この声=自分ではない」

と思えていたら、

同じ苦しみの中にいても、

感じ方は少し違っていたような気がします。




頭の中の声は、

あなたの“全て”ではありません

もし今、

頭の中で自分を責める声が鳴り続けている方がいたら、

覚えておいてほしいことがあります。

「私はダメだ」

「もう遅い」

「私なんて価値がない」

そんな声が聞こえてきても、

それがあなたの真実とは限りません。

ただ今、その考えが浮かんでいる。

まずは、それだけです。

頭の中の声というのは、

時々かなり大げさです。

そして、けっこう話を盛ります(笑)。

だから全部をまともに信じなくてもいい。

雲が流れていくように、

思考もまた、

やがて形を変えていきます。

雲はあなたではありません。

そして、

頭に浮かんだ思考も、あなたそのものではありません。

あなたは、

その思考を眺めることのできる、

もっと大きな存在なのだと、

私は思っています。

はるのり

 

 

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はるのり プロフィールはるのり元高校英語教師・上智大学認定カウンセラー。
逮捕・懲戒免職を経て人生のどん底へ。
父の愛と教え子の手紙に救われ、64歳から人生を再スタート。
心理学で、50代女性が心を整えて生きるヒントを発信しています。▶ はるのりの詳しいプロフィールはこちら