バレエの白鳥

 

といえば

 

白鳥の湖しか

 

知らないわたしに

 

あなたは

 

降臨した

 

美しい白鳥が

 

とても傷ついて

 

水のほとりに

 

戻ってきた

 

水の中で

 

いつものように

 

浮かぶことができず

 

翼でもがくけれど

 

ただ

 

自分のまわりの

 

水をむなしく

 

かき回すだけ

 

そうこうするうちにも

 

白鳥はどんどん

 

弱っていく

 

弱っていきながらも

 

己の運命を受け入れているかのように

 

過剰にじたばたしない

 

そっと

 

やさしく

 

身を横たえるのみ

 

その美しさ

 

儚さ

 

命の輝き

 

氣高さ

 

すべてが

 

あまねく

 

表現され

 

一切の説明を要しない

 

ただ

 

滂沱の涙で

 

見守ることしか

 

できなかった