幼稚園まで
歩いた道
小学校にあがって
少し遠くまで
通った道
驚くほど
変わっていない
坂の表情や
ところどころにある
階段
道幅が狭かったり
記憶より曲がっていたり
公園も小さかったり
はあるけれど
驚くほど
そのままだった
古い家は
当時のまま
時を刻み続けている
そこに行って
何を
するのかなと
言われるから
一人で
時を遡る
わたしは
こんなにも
繊細に
世界を感じていた
だからこそ
いまでもそのままの記憶で
地図がなくても
この場所をたどることができる
景色をからだが覚えているから
ラジオ体操の公園の
隣の家もそのままで
再会に
涙が出そうになったけれど
こうやって
残っている家もたくさんある中
わたしの家はもうない
知ってはいたけれど
いま
目の当たりにする
わたしの家の車庫だった基礎は
そのまま生かされているようだけれど
それ以外の名残は一切ない
梅の木も
ネズミモチも
何もかも
家の跡地に3軒の家が
窮屈に建ったように見える
裏の景色は変わってしまっていたから
もしかしたら違うけれど
横にある階段はそのままだから
きっと
そうなのだろう
とにかく
当時いた
わたしにさえ
にわかには
わからない変わりようだった
いまだにある
友だちの家や
近所の家
わたしの家も
本当はまだ
使えるはずだったのに
ここだけが
わたしの記憶と
写真の中だけにしかいない
その怒りと悲しみが
どうしようもなく
からだを
突き抜けていった
でも
ここに戻るまでに
本当に
本当に
長い道のりだったから
甘いだけじゃないのはわかっていたけれど
帰ってきたんだよ
ありがとう
ありがとう
ありがとう
美化しないで
そのまま
記憶しておくね
