あおげばとうとし
いまどきは
歌われないみたいだけれど
今日は
エンドレスで
流れています
わたしの頭の中で
あなたはたぶん
14か15歳で
うちにきてから12年半になる
ひなまつりには
すでに
体調が悪かった
なぜか沈んでいられず
浮いてしまう
あなたは
すぐにでも
虹の橋を渡りそうだったけれど
持ち直して
底に沈んでいられるようになった
もう
めしいていたから
ごはんを食べるのが難しかったけれど
食欲は旺盛で
本能でごはんを狙って
突進していた
もしかしたら
もしかするかと
思い始めた矢先
あなたは文字通り
倒れてしまった
水底でひっくり返って
口を開いていたあなたは
金魚がヒレで
ぺしぺししても
何の反応もなかった
とうとう
おかくれになってしまった
と思っていたら
急に
いなくなって
別の場所にいたから
本当に
驚いて
あなたは
もしかして
不死身なのかもしれないと思った
逆さまで水底にひっくり返っているかと思えば
水槽の隅にもたれる形で
縦になって水面に口をだしたり
驚異的な生命力で
意識を失ったり
回復して場所を移動したり
繰り返しながら
半日持ち堪えた
昨日の夜
もう寝るねと
声をかけたら
底でひっくり返っていたあなたは
くねくねして返事をしてくれたけれど
もう移動する力は残っていなかった
今朝になってみたら
そのままの場所で
少し
もよもよが積もったようになっていた
底にいたまま
水面に浮かずに
おかくれになる魚を
はじめてみたから
もしかしたら
まだ
と思ったりもしたけれど
あなたは
もうかたくなっていた
さくらの近くの土に
あなたをいれたけれど
あなたは
美しいままだった
というより
死化粧を施されたみたいに
きれいだった
どんな状況でも
へこたれず
生命をまっとうするあなたは
まちがいなく
わたしに
ギフトをくれた
そして
生命を燃やし尽くした
最高に強いあなたは
天にも祝福され
きれいな姿かたちで天に召された
水槽の底に
いつもいたあなたがいないのは
こんなにも
さみしいけれど
天晴
いざ
さらば
