異国の片隅の

 

名も知らぬ路地裏を歩いた

 

夕暮れどきで

 

気温がぐっと下がり

 

わたしの緊張を

 

見透かすように

 

街灯が

 

空の明るさにとって代わった

 

わたしは

 

世界史の授業で習った国にいた

 

もちろんその世界があることは知っていたし

 

その国のよいところも

 

そうでないところも

 

知識としては知っていた

 

でも現にわたしの足もとには

 

その国の地面が横たわり

 

その国の匂いがし

 

その国の人々が家路につき

 

当たり前のように日が暮れていく

 

わたしの国では

 

いままさに次の日付の

 

朝が来るはずなのに

 

わたしは

 

時間をさかのぼって

 

異国の地にいる

 

そのとき

 

世界が

 

二次元ではなく

 

三次元として

 

わたしの前に

 

建ち上がってきて

 

さらに四次元や

 

五次元が

 

風や香りや

 

光や

 

エネルギーとして

 

わたしの中に

 

入り込んだ

 

わたしは

 

籠の中の小鳥ではなく

 

自由に羽ばたける鷲なのだと

 

教えられ

 

気付いたその刹那

 

震えるほど感動して

 

声を限りに

 

快哉を

 

叫びたかった