聖遺物とじっくりと向き合っていると
不意に涙があふれてくる
あなたはわたしを知っているのですか
わたしはあなたを知っているのですか
わたしは誰だったのかしら
思い出せないんです
棺の表情も
表面の彫刻も
何だか
語りかけているよう
表情が少しずつ
変化していくようで
目が離せない
この感覚は
物理や数学の
難問を解くのに似ていて
触れるようで
触れない
辿り着けるようで
辿り着けない
もどかしさが
わたしを
じりじりと
焦らす
でも
きっと
ヒントを
いただいた
必要なのは
癒しと
時間と
リラックス
