壁のすきまから

 

名も知らぬ

 

紫水晶のような

 

実をつける草が垂れ

 

芙蓉の花が

 

おいで

 

おいでと招く

 

ここの場所も

 

この岩の感触も

 

この地に生きた人も

 

みんな

 

みんな

 

知っている

 

わたしの

 

先達であり

 

わたし自身

 

ただいま戻りました

 

よくぞ帰った

 

放蕩者よ

 

氣付くと信じていた

 

待っていたぞ