最後の炎を燃やして

 

夏が

 

秋に

 

主役の座を

 

譲る

 

たくさんいた蚊は

 

まだまだいるけれど

 

たくさんいた

 

蜂は少しずつ

 

活動を減らして

 

引退の準備をしている

 

季節のサイクルを

 

何度も

 

何度も

 

体験できる

 

人間は

 

なんて

 

幸せな

 

種族なんだろう

 

こうやって

 

巡る季節を

 

もっともっと長い間

 

廻ている

 

木々は

 

どっしりと

 

落ち着いていて

 

気候の変動に

 

一喜一憂したりしない

 

太陽は

 

休むことなく

 

世を照らし

 

夜には

 

月が日々

 

形を変えて

 

楽しませてくれるし

 

金星や木星のような惑星や

 

もっと遠くの

 

恒星の星々が

 

きちんと

 

姿をみせてくれるのだから

 

なんの心配もなければ

 

孤独もない

 

せっかく

 

動き回ることができる

 

足が与えられているのに

 

それがために

 

じっとできないのなら

 

それがために

 

思考が定まらないのなら

 

それは

 

葦ではなく

 

ただの

 

浮草