とねりこトンネルの

 

近くで

 

お話しましょう

 

そう

 

誘ってみたけれど

 

会う時間を

 

惜しむように

 

電話で用件をきかれた

 

がっかりもしたけれど

 

それは

 

別れを惜しんでくれることを

 

期待していただけ

 

面と向かって

 

お話することが

 

大切だと思いこんでいたけれど

 

そんなことをする

 

必要はお互いになくて

 

取り越し苦労だった

 

二度と会わなくなることが

 

まったく大したことで

 

ないかのように

 

事務的なトーンで

 

電話を終えてみれば

 

逆に

 

すっきりした

 

自分がいて

 

伝えることを

 

危惧していた

 

自分の愚かさを

 

笑った

 

だれもかれも

 

自分のことで

 

手いっぱいで

 

他人のことを

 

顧みる余裕なんて

 

ないんだ

 

だからこそ

 

わたしは

 

自由で

 

だれにも

 

気をつかわずに

 

自由に

 

飛びたてばいい

 

飛びたった途端に

 

お互いのことなんて

 

とおく

 

とおく

 

記憶の彼方へ

 

忘れ去って

 

しまうんだろうから

 

変な罪悪感なんて

 

いらないんだ

 

自分の責任は

 

自分でとる

 

だれにも

 

借りはないんだから