鈴をつけた

 

白い犬は

 

おおかみの子孫

 

山をかけまわり

 

へびやカエルや

 

ネズミを

 

狩る本能も

 

しっかり宿し

 

躍動するが

 

食べることは

 

しない

 

動く獲物に

 

血が沸き立つのみ

 

本来は

 

夜行性だが

 

すでに長い長い

 

人間との生活で

 

それは薄れつつある

 

しかし

 

満月の夜には

 

血が騒ぐ

 

月に向かって

 

吠える

 

遠く

 

空へ

 

哀愁漂う

 

その吠え声は

 

鎖につながれた

 

自分を

 

憐れむのか

 

ふわふわな

 

ぬいぐるみ犬が

 

もてはやされて

 

ほろびつつある

 

野性味あふれる

 

自分の種を

 

嘆くのか

 

その一方で

 

滅びたおおかみを

 

蘇らせる

 

背徳を

 

あざけるのか