あれは夢だったのか

 

鮮明な記憶なのか

 

浜辺にある

 

レストランでの

 

家族での食事

 

子どもだったわたしは

 

お手洗いに行く

 

ほんのちょっとの間しか

 

席を外していないのに

 

戻ってみたら

 

テーブルには

 

だれもいなかった

 

その不在は

 

永遠の不在だと

 

はっきりとわかる

 

わたし以外の席には

 

骨があったから

 

たったひとりのこされた

 

孤独なわたし

 

家族がほしくて

 

愛されていると安心したくて

 

再びうまれてきた

 

少なくとも

 

家族はいた

 

それらしい形をして

 

ただただ

 

ずっといたけれど

 

愛はなかった

 

家族の中の

 

異分子

 

異端な存在のわたし

 

雑音の中の

 

孤独

 

支配の中の

 

孤独

 

異質の

 

まったき

 

孤独

 

愛は

 

与えられるものではなくて

 

みずから

 

うみだし

 

与えるもの

 

そのことを

 

知るための

 

長い長い旅

 

そして

 

それらすべては

 

愛のため

 

すでに

 

愛しか

 

わたしのまわりには

 

なかったことを

 

知るため