つづらおりの坂を

 

息を切らして

 

登っていくと

 

古ぼけた

 

洞穴につく

 

中は

 

湿った

 

苔のにおい

 

暗く

 

そこだけ

 

涼しい

 

そして

 

静寂

 

ここは

 

わたしだけの場所

 

持ってきた

 

サンザシの実を

 

一粒かじり

 

残りを捧げる

 

ここには

 

だれもいないけれど

 

いつかの時代の

 

だれかがいる

 

異世界の

 

入口に

 

違いないけれど

 

ここがすでに

 

別世界だから

 

落ち武者が

 

時空を超えて

 

あらわれても

 

不思議じゃない

 

ここで

 

わたしも

 

偽りの自分を

 

脱ぎ捨てよう

 

自分の

 

魂が

 

喜ばないものを

 

仕方がないと

 

心を置き去りにして

 

やってしまう癖も

 

いつか

 

だれかが

 

出現して

 

世界を一変してくれると

 

期待することも

 

できない

 

理由を

 

やらない

 

いいわけを

 

さがすことも

 

全部

 

全部

 

手放して

 

わたしは

 

わたしを

 

変えて

 

帰るから

 

待っていて

 

金鶏

 

その場所が

 

もうなくても

 

そのエネルギーは

 

わたしを

 

招く

 

数千年の

 

ときを

 

超えて