50歳で奄美にわたったと簡単にふれられていたけれど
50歳で今まで住んだところとまったく違う場所にいくってどんな気持ちなんでしょう
拠点を変えるって
わたしは今日作品を見せていただいて
特にスズメが竹にたくさんとまっている掛け軸
お馬さんに白鷺が乗っている小さな絵が好きでした
絵葉書かレプリカかグッズか何かその二つの絵が載っていたらほしかったけれど
どちらもなかったのでわたしの中にしまいました
わたしも拠点をかえたいと思うけれど
今の拠点も好きなところがあって
それが空の美しさと金木犀なんです
奄美の空にも負けるとも劣らない空が
毎年香る金木犀が
わたしは絶望的に絵が描けません
だからこそどんな絵もすき
あなたの描いたふすまのある家に住みたい
美術館にきれいに飾られるよりも
暮らしの一部のものに描かれた絵は
使ってもらってなんぼなのよと
話しているような氣がしました
あなたは終生無名だったとありましたが
まわりにいつもたくさんのファンを抱えていたように思います
そしてそのまわりの方たちにも決して手を抜かない作品を
たくさんプレゼントされたのですね
これほどまでに精緻な魂を込めた作品を
たくさんたくさん世にのこし
いま平日なのにあなたの絵をみたくて
たくさんの人たちが押し寄せていました
作品は永遠に近い時間を美しく生きられる
美しい鳥たちのように
美しいちょうちょたちのように
美しいアダンの実のように
いつまでもいつまでも
波と風の音をたたえて
