以前、学校の懇談会で、先生がお母さん達に、読み聞かせをして下さったこともあった。
この絵本は、母親になったばかりの女性が赤ん坊を抱っこして、歌う場面からはじまる。
子供はしだいに成長していき、母親は、日々、子供に振り回されるようになる。
けれども、その子が眠りにつくと、抱きしめて、歌をうたうのだ。
少年はいつしか青年となり、子供を持つようになる。
そして、今は老いた母が、かつて自分を抱いて歌ってくれていたように、生まれて間もない自分の子供を抱っこし、歌う姿で終わる。
この絵本には、命や愛が循環していく姿が描かれている。
挿し絵は、とても優しく、あたたかで、ピュアな感覚に引き戻される。
この絵本に出会ったのは、もう何年も前だ。
会社からの帰り道、本屋で立ち読みをした。
立ち読みは、やめておけばよかった。
涙が溢れてとまらなくなった。
私は、雑踏の中、人目を避けて、しばらくの間、泣いたのを思い出す。
この絵本のように、人生の長い時間を、かいつまんで早送りすると、見えてくるものがあるのだ。
いっとき、いっときは長く感じられる。
あまりに少しずつの変化なので、全く進んでいないように感じてしまう。
なおさら、苦しい時間のなかでは、それが永遠に続くように思えることもある。
しかし、思いのほか、人生は大きな流れにのりながら、あっという間に過ぎて行くのかもしれない。
子育ては命をあずかる、とても尊い仕事のひとつだ。
命や愛は、時を超え、宿る場所を変えながら、永遠に受け継がれていく。
そのことを、やさしく教えくれる本だと思う。