毎年、秋の季節の二日間、仙台の街に音楽が溢れる。
商店街や公園にたくさんのステージが設けられ、全国からジャズフェスを目当てに、多くの人が仙台にやってくる。
けやき並木の定禅寺通りは、片側通行となり、道路上にも、いくつかステージが設けられる。
心惹かれる演奏に足をとめたり、お気に入りのバンドを楽しんだり、とても開放的だ。
私の目当ては熊谷駿。
仙台出身のサキソフォニスト。
小柄ながらも超パワフルな伊達男。
夜を迎えた西公園のステージは、すでにたくさんのバンド演奏で盛り上がっていて、熱気が溢れていた。
ビールを片手にラフな感じで揺れる人々、かき氷を食べる子供達、様々な人が集まっていた。
仮設テントのステージは、ライブハウスのように近い距離感だ。
スピーカーから流れる音の振動を身体に感じる。
ステージライトが眩しい。
多くの観客が詰めかけ、熊谷駿スペシャルバンドの出番を待ちかねていた。
メンバーが現れ、チューニングをはじめた。
曲のさわりの部分が演奏されると、そのクールさにしびれた観客達が声を上げる。
ギター、ピアノ、ドラム、そしてサキソフォン。
ステージが始まった。
残暑の夜の湿った空気のなか、伸びやかなメロディーが次々と放たれる。
華やかで洗練された、疾走感のある音。
それぞれの楽器がソロを奏で、サキソフォンを合図にまたセッションが始まる。
メロディーにあやつられるように、歓声や拍手が飛び交う。
高揚感と一体感。
音楽の喜びと情熱が飛び火して高まっていく熱いステージだった。
終演を迎えて、皆、興奮が冷めないままに公園を後にした。
街灯がともる定禅寺通りには、鈴虫の鳴き声が響き渡っていた。
リーン リーン
リーン リーン
わたしは、小さな生き物たちが奏でる自然の音楽へと耳を傾けた。
この音と共に、夜道を帰ろう。