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ギフト〜なな色の羽

私の中から産まれたがった言葉やお話を書いています

先日、NHKEテレ『ハートネットTV』ブレイクスルーFile22″みえない〟をみるー暗闇のスペシャリストたちーという番組を見た。

東京に、〈ダイアログ•イン•ザ•ダーク〉という、暗闇体験ができるエンターテイメント施設があることを知った。


視覚障害を持つスタッフにアテンド(付き添って案内)され、杖をつき、真っ暗闇のなかを進んで行く。

木や水に触れたり、お茶をいれてもらったり、日常行為を体験する。

視覚情報が遮断された暗闇は、とてもおそろしい。

危険回避のために、視覚以外の感覚器官が、暗闇空間に対し、全開になる。

身体中にアンテナが立つ。


乾燥した木の葉の感触。

水の流れる音。

温度や湿度、風向きの微かな変化。

始めて体験することのように、触れ、聴き、感じる。

超集中状態にあるため、そこでの体験は強烈なものに感じられる。

日々の生活のなかで、鈍くなっていた感覚が蘇ってくる。


私達はしばしば、その場にいながら、心は過去や悩みのなかにいたり、思い描いた未来へ行っていることがある。

心がその場にないために、充分に感じることができないのだ。

それが続くうちに、今ここを生きている、という感覚まで希薄になったりもする。

〈ダイアログ•イン•ザ•ダーク〉は、この場所、この瞬間を全身で感じることができる空間といえる。


番組では、この施設でアテンドをしている
ソプラノ歌手の川端みきさん、通称、みきティが紹介された。

彼女は、視覚障害を持つ歌手として、悩みを抱えていた。


目が見えないのに歌えるのがすごい、と言われてしまう。

私の歌が負けている、伝わりきれていない
、と感じていたそうだ。


しかし、暗闇のコンサートをするなかで、思い込みが消えたという。

暗闇は、視覚障害という部分にフォーカスされない、観客も自分自身も、先入観を持ち込むことがない空間だ。

観客は、心で音を聴く。

肌で音の振動を感じとる。

みきティも、心の目でみる。

観客の心の振動を感じとる。


思い込みを取りはらい、現れてくるものが真実だ。 


ミキティは、視覚障害者として特別視されていると思い込んでいたのは、自分自身だったことに気づいたという。

みきティは、どんな風に感じてもらっても、自分は自分なのだと思えるようになった、と言う。


私は20代の頃、スキューバダイビングをしていた。

言葉を使えない、水の中の世界だった。

仲間と目と目を合わせて、身振り手振りでコミュニケーションをはかる。

もどかしさや誤解もあるが、伝わった瞬間は素晴らしかった。

私にとっては、仲間としっかりと繋がっている、という確信を持てる空間だったと思う。

言葉がないからこそできる、深いコミュニケーションがあった。


言葉を超えた思いも、視覚を超えた美しさも、どちらも、心の目を開かなければ、みえてこない。


暗闇の包容力は、すべて深い黒に染めて、相手との身体的な境界線をあいまいにする。

私はここにいる、そして、あなたもここにいる。

お互いが、繋がり合っていることを強烈に感じさせてくれるだろう。