明け方の空。
空と海との境目から、朝日がさす。
紺色の空に、オレンジやマゼンダの光がじんわり溶けだして、誕生色が広がっていく。
空が明るさを増すにつれ、暗い雲の輪郭がくっきりと浮かび上がる。
そして、東南の空には、明けの明星が輝いている。
この星は、金星。
愛の星、ヴィーナスと呼ばれる。
光と闇とが反転する、コントラストが極まる間に姿を見せた。
明星はやがて朝日が昇るにつれて、光の中に姿を隠してしまう。
命は生まれ、そして、いつか消えていく。
命の瀬戸際、私を支えてくれるのは、おそらくは愛、または愛の記憶かもしれないと、感じている。
眠りという、死を迎える時を愛で終らせ、目覚めというよみがえりを果たす時を、また、愛で始めるのだ。
一夜が明け、新しい朝がやってくる。
凍える真冬の朝、明星は、より、いっそう眩しい姿に見える。