ブルーグレーの空に、夕日が低く街を照らしだす。
私は、その光を正面から受けて、直視できないまぶしさに目をそっとはずした。
あの光に包まれると、とても深い安堵が湧き上がる。
それは、私が少女の頃に包まれた光のまま。
もうずいぶんと前のこと。
世界と自分とを区別することを知らなかった。
夕暮れ時になると、私はよく泣いた。
あれは、駅のホームにひとり立っていた時だった。
夕日が景色を染めあげた。
まるでオレンジ色の液体に浸かったかのように見えた。
私の身体も染められて、深く差し込む光に、魂だけが浮き彫りにされるように感じた。
私は、震え泣いたのを覚えている。
私はいつか、この光にもどっていくのだろうか。
身体に閉じ込めた熱が解かれて、あの光へと向かって走り、合流するのだろうか。
隔てないあの光に。
だからなのか。
こんなにも夕日に惹かれるのは。
この景色を見に、ここにやってきたと思ってしまうのだ。