15年くらい前の事ですが、透析をしていた母が転倒して大腿骨骨折をしました。病院で検査をした所、心臓の弁膜に菌まで取り付いており、この治療が先だと言われました。

骨折はそのままに、抗生物質投与の治療が始まりましたが、一か月経っても1ミリも動かず小さくもならず。医師達も途方に暮れておりました。このままでは死に至ると、濃いオレンジ色の西陽が差し込む部屋で、先生も私もオレンジに染まりながら告げられ、あれ以来西陽が怖くなってしまいました。


恐怖に震えながらも、とにかく考えようと決心し、心臓の中には薬が届きにくいと言われた事を反芻し、昔読んだ本を思い出しました。

家相学の本でしたが、家は人間の体に相当するらしく、キッチンは体のどこどこ、リビングはどこどこと、覚えてはいないのですが、とにかく閃いたのは冷蔵庫。冷蔵庫という鎧で中には薬が届かない、それが心臓のような気がしたのです。


1ヶ月以上薬が効かないので覚悟して下さいと言われたのが金曜日の夕方。

土曜日に実家に行き、突然の入院で腐った物だらけの冷蔵庫を全て中身を捨て、アルコールで消毒しました。それはそれは徹底的に消毒しました。


さて、それから2日後の月曜日。いつものようにお見舞いに行った私は、医師達が数人ざわざわしているのにびっくりしました。

朝の検査で、1ヶ月以上存在していた大きなブドウ球菌が影も形もないと言うのです。


私はやっぱりと思いましたが、まさか冷蔵庫を消毒したとは言えません。

CTや超音波検査で、全身の菌探しが始まりました。
ですがどこにもないのです。肺や脳に飛んでいたら大変だと、くまなく探して下さいましたが無いのです。

母はそれから骨折の手術も受け、7ヶ月入院したのに歩けるようになり、透析も続けて元気で何年も生きられました。最後は透析に向かう途中、居眠りしたまま旅立ちました。

家と病気の不思議な関係です。廊下に物を置くと血管が詰まるとも聞きます。私が高血圧なのはきっとそのせいだと片付けをせねば、と思っています。