私は当時36歳,隣のベッドに少しばかり年上の男が入院してきた。部下がしょっちゅうやって来て,彼の指示を受けていた。トラックの過剰積載で捕まってしまったので,これから過剰積載が出来なくなってしまったと報告に来た。彼は部下を怒鳴りつけて,捕まらないよう運送ルートを考えろと言っていた。

規則違反までして過剰積載しなければならないのか尋ねたところ,そうでもしないと十分な利益が上がらないのでしようがないのだと言っていた。普段は優しそうな人だが,部下にはいつも怒鳴っていた。

若い美人の奥さんが時々来ていた。いつも浮き浮きしているような女性だった。どういうわけか時々彼のベッドに寝転んだ。私のベッドとそう離れていないので変な気分だった。そして私によく話しかけてきた。「ああいい気持ち,私も入院したーい」と言った。「入院している人の気持ちを分かってくださいよ」と答えた。