(月刊『家庭科教育』19984月号より)

 長野市で開催された冬季オリンピックは,始まる前は盛り上がりに欠けると心配されていたが,いざ始まってみると国民の関心を大いに引き付け大いに盛り上がった。日本人選手の予想以上の活躍もあり,多くの人が競技の模様を,家族みんなで同じテレビ画面で見て熱中したことで,久しぶりに家族団らんが出来たという家庭が多かったようである。

 長野市と言えば,私が小学校3年から中学2年まで疎開していた村(小社は戦後5年ここに会社を置いた)の近くであり,また小学生の頃からたびたび,本誌の発送の手伝いに行った所である。そして現在は,小社の出版物をすべて印刷・製本しており,小社の倉庫もある所である。

 そんなことから,オリンピックの始まる前から,そして開催中はもちろん,地元の様子をよく知ることが出来,一層の関心が持てた。更に娘が,スポーツウエアメーカーの商品企画を担当していることもあって,オリンピック関係の裏話を色々聞くことが出来,楽しい2週間を過ごすことが出来た。

 モーグル競技でカナダの選手が大技を決めた。アナウンサーは直ちに「出たー,ヤマグチー」と叫んだが,解説者も「何で日本人の名前が付いているんでしょうね」と言うだけだった。そのカナダの選手が奥志賀にある娘の会社が経営するホテルに泊まった時に,「今度大技を考えているが名前を何にしようかと思っている」と言ったのに対し,娘と同期入社の山口君が「ヤマグチと付けてくださいよ」と言ったことに従ったのだそうである。私も知っている山口君のこの裏話は実に愉快であった。

 オリンピックの記念品は品切れの物が続出したが,残念ながら地元のお土産品はさっぱり売れず,地元の潤いはなく,市の債務がかなり残った。幸い長野新幹線が開通した。長野市近辺にはいい所がいっぱいある。ぜひ多くの方に行っていただきたい。