(月刊『家庭科教育』19956月号より)

 この欄に対してはごく親しい人たちからの反応しかないのが普通である。そんな中で,昨年の2月号(このブログでは,「過去に書いた事(33)家と家でない個人と個人の結婚式」)のこの欄に対しては知人からはいつもより多く,そして直接知らない読者の方からも何通ものお手紙を頂いた。

 その号では,知人の間で,その後「M (私の姓)方式の結婚式」と言われていることについて書いたものである。息子の結婚式の招待状は結婚する2人の名前で出し,結婚式はM家・F家の結婚式ではなく,MMFSの結婚式にし,仲人は2人が頼み,親は全く関与しなかった。結納の儀式はなく,両家の親は,式近くなってから両家の中間のレストランで会食のみ,そして結婚式・披露宴の出席者は本人を直接よく知っている人たちのみで,披露宴の終わりは新婦・新郎の挨拶で締めくくられ,親の出番は全くなしの新郎・新婦主導のものであったというものである。

 あれから1年半近くたった今日,M方式でやりたいと言っていた人たちで,実際にやれた人,やれそうな人は今のところいない。相手の親の考え方もさることながら結婚する2人がその気にならないのだからどうしようもないと皆が嘆いている。もっともM方式でやりたいと言う人たちは親が楽だからというのがほとんどで,残念ながら,家と家との結婚式ではなく,結婚する2人の自分たち自身の結婚式・披露宴にしたいという本来のM方式を誤解しているようである。

 M方式で結婚式をした息子夫婦は,過日,27歳にして早くも,一つ年下の会社の後輩の仲人をしたが,仲人の挨拶では奥さんも半分受け持ったとのことでこれも珍しいことではないかと思う。よくやるなと息子夫婦に感心している。

(追記,2012103日)

 私の結婚式は従来通りの結婚式であったが,出席者は私をよく知っている人だけにした。妻の方もそのようにしようと思ったら,親父さんに怒られたそうである。親父さんの付き合い上,招待しなければならない人がいるとのことであった。その結果,妻の全く知らない親父さんの知人の偉い人が何人も出席された。妻の方は親戚も多いこともあり,私の方に比べかなり人数が多くなった。

 何人かの先生方は2月号に書いたことを授業で紹介してくださったとのことであった。私が書いたことにかなりの反響があったことにびっくりした。