(月刊『家庭科教育』19832月号より)

13日の新聞に「大人こそ活字離れ」との見出しで、総理府が発表した「情報化社会と青少年に関する調査報告書」の内容が紹介されていた。単行本(マンガ,教科書,参考書以外)を1か月全く読んでいないのは,小・中学生39%,青年41%に対し大人では 60%。1か月に読んだ平均冊数は,小・中学生1.5冊,青年1.3冊に対し大人0.7冊で,読む内容に違いがあるとはいえ,数字で見る限り「本離れ,活字離れ」は大人の方が進んでいるというものである。

成績が良い者ほど単行本と新聞をよく読み,成績が悪い者,または勉強しない者ほどテレビをよく見ているという調査結果は当然であろう。子どもは,興味の持てる本に出会い,読書に興味を持てば,テレビよりむしろ本の方に夢中になるようである。テレビばかり見て「活字離れ」した大人にならないように,本に親しむ雰囲気と機会を子どもたちに充分与えたいものである。

(追記,2012514日)

長男が小学生の頃,学校に近い我が家では友達が自由に出入りすることを許していた。息子は先生に頼まれ仕事をすることがよくあったので,息子がいなくても数人の友達が我が家にたむろしていることが多かった。我が家ではテレビも見られたが,子どもたちは我が家に来るなり皆先を争って本箱の所に行ったものである。子どもたちは本が本当に好きなんだなと思った。

我が家の冷蔵庫には常に麦茶があった。自由に飲んでいいことになっていた。社会人になったこの友達の一人が我が家に来た時,息子はいなかったが,「麦茶もらいます」と言って,自分で冷蔵庫から麦茶を出して飲んでいたのには,あきれたというより笑ってしまった。