和歌山にある 胸高鳴る家だった (クリスマス) | 陽秋の全体像の彼方へ

陽秋の全体像の彼方へ

ヨウシュウ
混沌の浜辺から 街の観察や交叉するところ

もういい

 

なにも 思い出さなくて いい

 

わかっているから

 

ソ ラ シ ド あの通りが  見える

 

秋だったのか  春だったのか

 

木枯らしが 吹いたような

 

陽光が 石畳に  明るすぎた

 

思い浮かぶ  あの通り

 

ポツン ポツン と

 

水玉の中に 浮かぶような

 

あの頃の  世界

 

あの頃の  音  ピアノ

 

本を 開いてください

 

私が 読んで 差し上げます と

 

あれは 夢だった

 

犬が  僕に ため口きいて

 

日本間には  黒い家畜が

 

ちまちまと  たくさん たくさん いて

 

君は  僕を 叱るように

 

洗濯ものを  干しながら

 

暗誦で  本を 読み上げる

 

その声は  朗々と

 

晴れた日の  声だった

 

あなたを 愛しています、とは

 

言わないで

 

君は  僕が 好きなんだね と

 

照れを  隠す

 

聞こえたかのように  あなたは

 

私が 好きなんでしょ  だったら

 

もっと  大切に してください と

 

はい

 

和歌山にある  明治の粘菌学者の家だった

 

君は 誰だろう  知らない人

 

いつも 知らない人だったが

 

姿を 変えて  夢に

 

現れる    夢の 案内人のように

 

歌いあげるように  空で

 

本を読む 人よ

 

君が 好きだ

 

どうして  この言葉を  君に 言えない

 

どうして  君の顔を  覚えていない

 

どうして  この気持ちだけが

 

愛おしく  残るのか

 

僕は 玄関先で  猛獣を

 

待ちうけるが

 

近づいてきた 獣は

 

もう 紙切れになって ヒラヒラと

 

頼りなく  帰って行った

 

僕は 君をリード したいのか

 

されたいのか

 

どちらも いやなのか

 

どちらでも いいのか

 

門前の 格子の その先を

 

蝶が  ゆくよ

 

まだ 手入れが 完全には

 

終わっていない 庭に はいって

 

僕は  なにかに  出会う

 

それも 君なのだろうか  と

 

思ってみる

 

この気持ち

 

この  湖  ミズウミ

 

この ・・

 

この なんでもないよ

 

ただ  胸が  ・・

 

高鳴る る る ル ル

 

 

この気持ち

 

この  湖

 

この ・・

 

この なんでもないよ

 

ただ  胸が  ・・

 

( 高鳴る る  る  る ル ル)

 

 

 ル ル ル ル ル ル ゥ ゥ ゥ

 

 

ただ 君を

 

 

 ル ル ル ル ル ル ゥ ゥ ゥ

 

 

( あ )

 

 

 ル ル ル ル ル ル ゥ ゥ ゥ