■オハイオ州ではほぼ不要

ジジイが住んでいるオハイオ州は山が少なく、現状のフロントシングルのギアレシオでも、リアカセットがワイドなものがついているため、レシオカバーについては問題がありません。

反面、ワイドすぎるためリアが12段あっても走りにくいレシオ設定となっていることは以前書きました。

 

 

日本に帰ったら、このギア設定では山にも対応できないし、平地も走りにくい。

そのため、フロントダブル化を含めたレシオの検討をしてみます。

 

■入手可能なフロントダブルの歯数

SRAMフォースでフロントダブルチェーンリングで入手可能な歯数の組み合わせは、48/35Tか46/33Tの2種類しかありません。

レッドには50/37Tというさらにハイな組み合わせもありますが、これにするにはクランクセットごと交換が必要となってしまうので却下。

つまり今のパワーメーター付きクランクのままフロントダブル化するには2種類の選択肢しかないことがわかりました。

 

■レシオに求められるもの

具体的に必要なレシオを考える前に、一般的に言ってレシオに求められることは何かをまず考えてみました。

その結果、以下の3つに集約されると思います。

1.負荷の高い平坦・高速域ではクロスしたレシオであること

2.勾配変化が激しい山道ではワイドなレシオであること

3.全体でカバーできるレンジが広いこと

異論あったら大歓迎です。たぶんないと思いますけど。

 

次に、上記3項目を満たすのはどれかを考えていきます。

が、その前にシマノのギアレシオとの比較をしてみます。

 

■負荷の高い平坦・高速領域ではクロスしたレシオであること

SRAMの特徴としてフロントのチェーンリングがシマノに比べ小さい(歯数が少ない)ことが挙げられます。

SRAMが少ない歯数を選択した理由は謎ですが、フロントの歯数が少ないとレシオに何が起きるか?を考えます。

 

例えばターマックSL7SワークスでSRAMとシマノが両方設定されています。

SRAMのフロントは48/35Tであるのに対し、シマノは52/36Tとなってます。

 

リアカセットはSRAMが10-33T、シマノが11-30Tです。

リアカセットで注意してほしいのは、トップ(高速)側はどちらも歯数は1T刻みであるということです。(つまりロー側が33Tでも30Tでも関係ない)

 

高速域の話をしているので、フロントはアウター側で話をします。(SRAM48T、シマノ52T)

この状態で、リアを1段変速するとSRAM、シマノのどちらも歯数が1T変化します。

この時のレシオ変化が大きいにはどちらでしょう?

答えはSRAMです。

理由はフロントの歯数が少ないため、リアの1Tの変化の影響をより受けるからです。

 

もう一つ。

リアの最小ギアはSRAMが10T、シマノは11Tです。

一つロー側のギアからトップに変速することを考えましょう。

つまりSRAMでは11T→10T、シマノでは12T→11Tです。

どちらがレシオ変化が大きいでしょうか?

答えはこの場合もSRAMです。

 

つまり、クロスレシオを求められる高速高負荷領域では原理的にフロントチェーンリングが大きく、リアの歯数も多いシマノが優れているということになります。

 

■勾配変化が激しい山道ではワイドなレシオであること

次にロー側を考えます。

リアのカセットはクロスしたものからワイドなものまでたくさん種類があります。

前述のSワークスを例にとると、SRAMが33T、シマノが30Tであり、

フロントのインナー側の歯数がSRAMが35T、シマノが36Tであることも併せて考えると、

ギア比はSRAMが1.06、シマノが1.2となり、こちらはSRAMの圧勝です。

まあSRAMは12速、シマノが11速であることを考えると当然ですね。

 

■全体でカバーできるレンジが広いこと

こちらもリアが12速あるSRAMのほうが有利です。

実際Sワークス同士で比べると、SRAMのほうがカバーできるレシオレンジが広いことがわかります。(SRAM 4.8~1.06、シマノ 4.73~1.2)

 

しかし、SRAMにも問題があります。

フロントギアの歯数を再度比較します。SRAMが48/35Tに対し、シマノは52/36Tです。

どちらがフロントを変速したときにレシオの変化が大きいか?

そう、シマノなんです。その差7%以上です。(46/33Tでも5%の差)

つまりシマノのほうがSRAMに対しフロントギアの違いによって重複するレシオ範囲がより少ないということが言えます。

つまり高速側ではよりクロスしたレシオ、低速側ではよりワイドなレシオがシマノのほうが原理的に選択可能ということです。

SRAMのフロントギアの歯数差が少ない理由は、おそらく変速性能に制約があるからでしょう。つまりシマノ並みの歯数差だと満足な変速性能を達成できないためこのような設定となっていると推測できます。

 

そのため重複するレシオ領域が広く、それをカバーするためにリアを12速化したんだと思われます。

 

■SRAMとシマノのギアレシオ比較

以上まとめると以下の図に集約されます。

SRAMがいいところは12速によるワイドレンジだということだけですね。

高速側でクロスしたレシオを選べないのはロードバイクのコンポとしていかがなものかと思います。

もう一つ、フロント、リアともにシマノより小さなギアでSRAMは構成されてます。

メリットとして考えられることは、軽量化できること、前面投影面積がほんのわずかに減って空力に有利なことでしょうか?

 

ですが、SRAMフォースってアルテグラより重いし、空力差はまず検出不可能な程度の差しかないでしょう。

 

逆にデメリットですが、チェーンの曲率が小さくなるために摺動量が増え伝達効率が落ちることが考えられます。また、ギア強度の確保も難しくなるのではないでしょうか?

計測したわけじゃないのでどのくらい伝達ロスが増えるか知りませんが、無視できる範囲ではないんじゃないかと思います。一部でビッグプーリー流行ってるくらいですし。

 

それはともかく、これでシマノが12速化してきたらSRAMの良さは何も無くなります。

 

それでもワイヤレスで組み付けが楽だとか、操作のカスタマイズが可能だとか、アプリでギアの使用状況をモニターできるとかの良さがあることは認めます。

でもね、それってロードバイクの本質的な要素じゃないよね。

 

ロードバイクでシリアスに走りたいならシマノ一択な気がします。

SRAMはワイドレンジで楽に走りたい、値段が高くて珍しいもの(でも機能はイマイチ)を見せびらかしたい新しもの好きなミーハー向けですかね。

 

じゃあ、ジジイはなぜSRAMを選んだのかというと、

もうそれはパワーメーターが同じ値段でついてくるってことに尽きますね。

あとはシマノがもうすぐ12速化しちゃうというタイミングの問題もありました。

 

SRAMの中の人やファンの人、反論していただければ嬉しいです。

ただ、技術的なことに限ってお願いします。

 

というわけで、次回はじゃあSRAMの中でどのレシオを選ぶかを考えます。