キノコ観察に行きたいのですが、昼間は暑くて外を歩く気になりません。しかし、朝は涼しくなってきたので、もう少しすればキノコ観察に行けそうです。



涼しく過ごすには映画館が一番ということで、「潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断」を鑑賞しました。

映画は男性が海中に転落する場面から始まり、その後に少し体の不自由な海軍軍人が現れます。この映画の主人公のトダーロ艦長はイタリアでは有名な人らしく、イタリアではよく知られたエピソードの説明は省略されているようです。英語版のwikiで調べたところ、トダーロ艦長は重巡洋艦に乗り組んでいた時、搭乗していた飛行艇が墜落して負傷し、脊椎を損傷して常にコルセットを装着せざるを得なくなったそうです。

1940年、トダーロ艦長は新造された潜水艦、コマンダンテ カッペリーニの艦長に任命され、乗組員と顔合わせをしました。トダーロ艦長は潜水艦に乗り組むことが危険と隣り合わせであることを知っているので、体調の悪い船員1名は除外しました。そして直ちに出航しました。任務は大西洋をパトロールして連合国へ向かう商船を沈めることです。

最初の関門はジブラルタル海峡を通過することでした。ジブラルタル海峡は狭いうえにイギリス軍が常に見張っています。加えて海流も複雑で通過は困難と思われましたが、無事に通過することができました。イタリア海軍らしかったことは、節約が重要な潜水艦なのに、犬が1匹持ち込まれていることでした。パトロールを始めて数日後、ベルギーの貨物船カバロを発見しました。当時のベルギーは中立国でしたが、イギリスに軍事物資を運んでいることは明らかだったので、艦長は撃沈することに決めました。魚雷を発射しましたが当たらなかったので、潜水艦の艦砲を発射しました。しかし、カバロも隠していた大砲を発射したため、潜水艦の砲手が負傷しました。しかし、潜水艦が艦砲射撃を続行したので、カバロは沈没しました。しばらくするとカバロの乗組員が潜水艦の方に泳いで来たので救助しました。救助された船員はイタリア語ができたので、後にカバロの船員とのコミュニケーションに貢献しました。その後に船長を含む26人の乗った救命ボートが流れつきました。26人も潜水艦内に収容できないので、ボートを潜水艦で中立地域のアゾレス諸島まで牽引することにしました。

しかし、しばらくすると救命ボートの浸水が激しくなり、26名全員が海に投げ出されました。仕方なく、艦長は全員を救出して潜水艦に乗せましたが、一部の人達は潜水すると浸水する艦橋に居てもらうしかありませんでした。敵から発見されないように潜水艦は昼に潜航し、夜は電池の充電のために海上を航行します。艦橋に人がいると潜航できなくなりますが、艦長は人命を救うために昼間も潜航しないで航行する決心をしました。カバロの船員の中に反ファシズムに熱心な者がおり、突然艦内のケーブルを切断し、潜水艦を停電させました。犯人は取り押さえられましたが、艦長は罰せず、処置はカバロの船員に任せました。

定員を上回る人数を収容しているため速度が出せず、停電による時間のロスが加わってアゾレス諸島への航海も困難になってきました。

夜が明けると潜航しないといけませんが、艦橋に人がいるためできません。焦って艦橋にいる人達を殺害しようとする人物も現れますが、艦長が必死に制止しました。まもなくイギリスの駆逐艦に発見され、砲撃が始まりました。この時点ではまだ有効射程外のため、弾は当たりません。しかし、10数分もすれば、潜水艦の被害は免れることができなくなりました。艦長は必死に無線でイギリスの駆逐艦に撃沈した貨物船の船員を中立地帯に運んでいることを訴えました。英語の出来る者が代わろうと言いましたが、艦長は断り、訴え続けました。やがて、イギリスの駆逐艦にはイタリア語の分かる者がおり、駆逐艦の艦長にそのことが報告されました。そして48時間の休戦が決まりました。

潜水艦は航行を続け、中立地帯まて1日の所まできました。定員以上の人数が乗っているため、食糧の在庫は少なくなっていましたが、艦長の計らいでベルギー料理をふるまわれることになりました。料理はカバロの船員の希望でベルギー風ポテトフライに決まりました。

カバロの船員は全員無事に中立地域のサル島に上陸しました。カバロの船長は艦長に助けた理由を尋ねました。艦長は「海の男だから助けた。あなたも私の立場なら、そうしたでしょう」と答えました。


ベルギーはこの後、すぐに連合国に加わりました。トダーロ艦長は潜水艦勤務の後、希望により魚雷艇部隊に転任しました。残念ながら、魚雷艇の母艦で休んでいる時にスピットファイアの機銃掃射を受けて戦死しました。


この映画に登場した潜水艦コマンダンテカッペリーニはイタリアが降伏した時、物資輸送でシンガポールに来ていたたため、日本海軍に接収されました。日本の敗戦後、紀伊水道で海没処分されました。