映画「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」を見てきました。1970年、アメリカのニューイングランドにある全寮制の男子中等学校バートン校のクリスマス休暇のエピソードとなります。クリスマス休暇の映画な夏に公開されているので不思議に思いましたが、アメリカの公開は前年の10月でした。

バートン校の初老の古典の先生ハナムは採点が厳しくて性格も頑固で生徒からも同僚からも煙たがられていました。学校の有力な後援者の息子に落第点を付けてプリンストン大学に入学できなかったため、ハナムは校長(ハナムの教え子)から譴責を受けていました。

クリスマスが近づき、学校はクリスマス休暇に入りました。大半の生徒は帰省しますが、家庭の事情で5人の生徒が学校に残ることになりました。ハナムは有力者の息子を落第させた懲罰として5人を監督することになりました。加えて食堂を管理する黒人のメアリも残ることになりました。メアリの息子もバートン姣の生徒でしたが、学資が足らず大学に行けなかったので退役後の奨学金を狙って軍隊に入りましたが、ベトナムに派遣されて戦死していました。ハナムは生徒達を厳しく監督して勉強させていましたが、生徒達には不満が溜まっていきました。1週間後、居残り生徒の親に裕福な者がおり、生徒達をスキーツアーに連れて行けることになりました。生徒達は大喜びでしたが、生徒の1人で口の悪いタリーは親と連絡が取れず、引き続き学校に居残ることになりました。ハナムとの息の詰まる生活に嫌気が刺してタリーはホテルに脱走しようとしますがバレてしまい、タリーは悔しくて体育館で大暴れし、肩を脱臼してしまいました。肩の脱臼のことが学校に伝わると監督のハナムが譴責されますが、タリーの機転で学校に伝わらずに問題なく終わりました。

外のレストランでハナムとタリーは校長の秘書のリディアに会い、リディアからクリスマスパーティに招待されました。パーティにはハナム、タリー、メアリーと用務員のダニーが参加しました。タリーはリディアの姪と親しくなり、独身のハナムはリディアのことが気になっていましたが、リディアにはボーイフレンドがいることがわかってショックを受けました。メアリはパーティの最中に戦死した息子のことを思い出して大泣きし、学校に帰らざるを得なくなりました。残念ながら、タリーの恋もあっと言う間に消えてしまいました。

クリスマスイブの日、タリーがボストン行きを強く主張したのでハナムとメアリが同行する研修旅行として許可しました。ボストンではメアリは出産したばかりの妹に会いに行きました。ハナムとタリーはスケートをしたりボストン美術館を見学したりしました。その途中、ハナムはハーバード大の同窓生と再会しました。同窓生は経済学者として有名になっていました。同窓生はハーバード大の事件の後、行方不明になっていたハナムにその後について聞きました。ハナムは古典学者として大学の教職についており、近く著書を出すと嘘をつきました。タリーとハナムは二人になるとタリーは嘘をついた理由を聞きました。ハナムはハーバード大在学中に同級生に論文を盗作されたが、同級生の親が裕福で大学に多額の献金をしたため、ハナムが盗作の犯人とされたことを話しました。ハナムは復讐のため同級生を車で引いてしまったため、ハーバード大を放校になっていました。母校のバートン姣の校長がハナムのことを不憫に思い、古典の非常勤講師に雇い、その後勤め続けていると話しました。

タリーはハナムが映画を見ている時、映画館を抜け出してタクシーに乗ろうとしましたが、ハナムに見つかりました。タリーは母親は離婚した後、再婚した男と新婚旅行に行っていること、そして今は父親に会いに行きたいと言いました。ハナムが付き添ってタリーの父親の所に行くとそこは精神病院で、タリーの父親は認知症を患っていました。タリーが来ると父親は「食べるものに薬が盛られている」とだけ喋りました。タリーは父親のようになることを非常に恐れていました。

新年が始まり、学校が再開しました。学校にタリーの母親と再婚した男が怒り狂ってやって来ました。タリーが精神病院に来たことが原因で父親が暴れて問題になっていること、そしてタリーをバートン校を退学させて陸軍士官学校に入れることを申し入れていました。しかし、タリーは陸軍士官学校を嫌っていました。ハナムは責任を全て受ける覚悟でタリーが精神病院に行ったのはハナムが行くように説得したからでタリーに責任は無いと言いました。ハナムの抗弁は受け入れられてハナムは解雇になりましたが、タリーはバートン姣に引き続き在学できるようになりました。

ハナムが学校を去る日、メアリはハナムに立派なノートを手渡しました。将来出版されるかもしれない本のためです。校門でハナムとタリーは別れの挨拶を交わしました。ハナムは知り合いのいるシラキュースに向かうことにしましたが、学校の校門を出ると校長の部屋から盗んだ高価なコニャックを口に含み、校門に吹きかけました。


痛快なエピソードはない地味なストーリーですが、最後はほろりとさせられたました。