ヴィム・ヴェムダース監督の映画「アンゼルム

"傷ついた世界"の芸術家」を鑑賞してきました。今年見たヴィム・ヴェムダース監督の作品は「パリ・テキサス」、「ベルリン・天使の詩」に次いで3本目になりました。



ドイツを代表する芸術家のアンゼルム・キーファーの経歴と作品の遍歴をヴェムダース監督が1本の映画にまとめ上げた映画となっていました。私はアンゼルム・キーファーの作品については全く知らなかったので、映画をどの程度理解できたのかはわかりません。



映画は野原に立つ白いドレスという不思議な光景からスタートします。次の場面は野原に林立する箱を積み上げたような構造物の場面になりましたる。この後、巨大なキャンバスに貼り付けた麦わらをガスバーナーで焦がして絵を完成させるキーファーが登場します。


アンゼルム・キーファー

ここで画面はキーファー(1945年生まれ)が生まれた頃のドイツの場面になりました。連合軍の爆撃で瓦礫となった町を歩くドイツの人達が映ります。キーファーは冬の枯れた草の写真を撮ったり、絵に描いたりして芸術家の道を歩き始めました。

1960年代、田舎に引きこもっていたキーファーを芸術アカデミーの恩師のヨーゼフ・ボイスが呼び出します。キーファーは当時のドイツではタブーとされていたドイツ神話の神や英雄を積極的に取り上げたため、ネオナチと呼ばれてしまいました。さらにナチス式敬礼をする写真や絵を発表して物議を醸しました。キーファーはドイツの暗い過去を取り上げることにより新しい表現を見出すことを目的としていたようです。さらに地球の肌を表現することを試みるうちに麦わらや溶けた鉛を利用することを思いつき、評判になりました。特にアメリカで高い評価を得ました。


1回見ただけなので、これ以上の感想を述べることは難しいです。機会があったら、また鑑賞したいと思います。