映画「ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人」を見てきました。日本経済がバブル景気で絶好調だった1989年はフランス革命200年の年にあたり、日本でもフランス革命に関する書籍が数多く出版され、私もそのいくつかを読みました。その中にフランス革命を物語風に書いた本があり、デュ・バリー夫人も登場していました。映画の題名を見た時、その本のことを思い出し、見てみたくなりました。

この映画の主役のジャンヌ・デュ・バリーを演じたマイウェンが監督も務るだけでなく、映画の制作や脚本にも関わっており、まさに主演女優の八面六臂の活躍で出来上がった映画でした。国王(ルイ15世)はジョニー・デップが演じており、キャストも豪華でした。

映画館に行くと女性ばかりで、私は端っこで小さくなって鑑賞しました。

ジャンヌはフランスの片田舎で私生児として誕生しました。母が再婚した人物が金持だったので修道院て教育を受けることができ、文学好きになりましたが、修道女が顔を顰めるような小説が好みだったようです。修道院を出てからは、男性遍歴を繰り返し、娼婦のような生活をするようになりますが、器量の良さがバリー子爵に見出され、貴婦人のマナーを教育されます。貴族は器量の良い町娘に貴婦人のマナーを身につけさせて、高位の貴族に紹介して出世の機会を狙ったようです。

ジャンヌは公妾のポンパドール夫人を亡くして意気消沈していたルイ15世のお気に入りとなり、宮廷に入ります。宮廷に入る際、私生児上がりでは不都合なので、バリー子爵の息子と結婚してデュ・バリー夫人となりました。

宮廷の中では身分違いによるイジメがあり、特にルイ15世の3人の娘から苛烈なイジメを受けますが、愛嬌のある性格で周りの貴族から気に入られるようになります。特に貴族の中で育ってきた人とは異なるファションセンスは周りの人達を魅了するようになります。

オーストリアからマリー・アントワネットが輿入れしてくるとその気を引こうとしてジャンヌとルイ15世の娘等との間で様々な駆け引きが行われました。

ルイ15世が天然痘で罹るとジャンヌは必死で看病しましたが、その努力は報われず、死去してしまいます。後ろ盾を失ったジャンヌは宮廷を追放され、修道院に幽閉されます。


ここで映画は終了で、詳しい後日談はありません。


調べたところ、ジャンヌは親しかった人達の尽力で幽閉を解かれ、パリ郊外で裕福に暮らしたそうです。しかし、フランス革命の勃発で身に危険を感じて一時イギリスに逃れますが、なぜかフランスに帰国したため逮捕され、処刑されてしまいました。危険なフランスに帰国した理由は今もわかっていません(フランスに残した宝石類を取りに帰ったとの説はありますが)


映画を見た印象ですが、ルイ15世との愛、宮廷生活のおかしさやルイ15世の娘等との確執を描くことに重点が置かれ、歴史的な意義や意味についてはあまり述べられていなかったように思います。加えて、ジャンヌのファッションや立ち居振る舞いは少し現代的過ぎると感じました。