キノコ観察をするにはキノコ図鑑を携帯することが不可欠ですが、図鑑を参照しながら天然のキノコを同定するのはとても難しい作業です。難しさの原因の一つは図鑑のキノコが綺麗すぎることにあります。天然のキノコの状態は様々ですが、図鑑のキノコは傷一つなくしかも若々しいので、なかなかうまく照合させることができません。図鑑用のキノコの撮影では見栄えをよくするためキノコを移植して撮影することもあるそうで、照合の難しさはさらに増大します。キノコに詳しくなるには経験者からアドバイスしてもらうのが一番良い方法ですが、愛媛県にはキノコに詳しい人が少ないので、苦労しながらキノコ観察を続けています。

さて、高縄山のキノコ観察の続きです。キノコではありませんが、光合成をしない植物として知られるギンリョウソウを見に行きました。1週間でどのくらい育ったか見たかったこともあり、ギンリョウソウを見ることは今回のキノコ観察の目的の一つでもありました。ギンリョウソウは光合成の代わりに外生菌根菌(植物と共生する菌類のことです。マツタケが有名)に寄生して養分を得ているので、キノコにとっては敵なのかもしれません。


ギンリョウソウ

ギンリョウソウは、先週よりもかなり大きくなっていました。ギンリョウソウの近くではカワリハツが生えていました。カワリハツのカサの色には変化が多いので、同定に迷うことがあります。食べられるようですが、あまり美味しくないとのことです。


カワリハツ

カワリハツの近くでテングダケの一種を見つけました。カサに褐色の断片が残っているのでフクロツルタケと同定しました。フクロツルタケは猛毒のα-アマニチンを含んでいるので食べることはできません。死亡例もあります。


フクロツルタケ

その裏

さらにシロツルタケ(?)と思われるキノコを見つけました。シロツルタケは可食らしいですが、猛毒キノコと似ているので、同定に自身がないときは食べるべきではありません。


シロツルタケ(?)


その裏

黄色いキノコも見つけました。キイボカサタケです。致命的な毒は含んでいませんが、お腹の調子を悪くするくらいの毒は含んでいるようです。


キイボカサタケ

イボタケも見つけました。イボタケは毒を含んでいないと思われますが、硬いので食べられません。イボタケの側にベニタケの一種が生えていますが、ベニタケの同定は難しいので同定はできていません。


イボタケとベニタケの一種

高縄山では秋のキノコが生え始めたため、いろいろなキノコと出会うことができました。まだ紹介したいキノコがあるので、次回に続きます。