主人公が最終回で勝てなくても名作になった漫画たち | むすび

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天巫泰之



2019年に「あしたのジョー」50周年として、アニメが全話、公開されました。
あしたのジョーはボクシングの漫画で、矢吹丈の半生を描いています。
新古書店に立ち寄ったときに、あしたのジョーの中古本をみて購入して読みました。

矢吹は最大のライバル、力石徹とも、最後のホセとの試合でも勝利することなく、真っ白になって燃え尽きます。
主人公が最後に勝利しなくとも、読者を感動させ、今も名作としてアニメ化、実写化され続けています。

3年前くらいに、永井豪さんのほぼ自伝漫画として出版された、「劇マン」では『デビルマン』の最終回まで描かれています。最終回もデビルマンとデビルマン軍団はサタンとサタン軍団に負けて終わります。とても愛おしい、美しい描写がラストのカットです。

ほかにもハッピーエンドではない作品は多いです。

最終回でも勝てないことがリアリティさを感じさせてくれます。ゆえに名作と称えられているのでしょう。

また、名作の漫画とされる作品は、主人公のことですら、詳細なことが描かれていません。
生い立ちや家族もさらっとです。ましてやほかのキャラクターのことはさらにさらっとです。ですから、「あしたのジョー」はコミックで20巻です。

ストーリーも無駄がなく、進行がはやいです。それでいて充実感が残り、読み応えがあります。ほかのキャラクターのことや環境は、詳しくは描かれていません。

最近では「鬼滅の刃」が23巻で終わっていますが、個人的にはこれくらいで最終回を迎えてよかったと思います。最後はほとんどの主要キャラクターが亡くなりますが。これもリアリティです。

私は、ただ、キャラクターとストーリーを純粋に楽しみたいと思っています。

(了)


星谷光洋MUSIC
JUNKのオリジナルソング『哀しみのナイティスト』




星谷光洋MUSIC
星谷光洋のLove・song『My Last Love