masaです
前回は過呼吸について話しましたが
その続きです
では
過呼吸のメカニズムについて話す前に
まずは
呼吸の基本的なことから話しますね
呼吸は
生命維持に必要な酸素(O2)を体内に吸って
代謝の結果生じた二酸化炭素(CO2)を体の外に吐き出しますが
呼吸(換気)の調節は
血液中のO2とCO2の量の変化や、pHの変化により
脳幹(延髄・橋)の呼吸中枢で自動的に行われます
一方
大脳皮質でも、脳幹部に信号を送って換気を調節しており
自分で意識的に換気を増大させることもできるし
精神的興奮によっても換気が増大します
つまり
無意識でも
意識的努力でも
呼吸は調節されるのです
さて
血液中のO2が減少した場合と
CO2が増加した場合は
前述したように
脳幹の呼吸中枢が刺激されて換気が亢進します
しかし
CO2はわずかな上昇でも換気調整が起こりますが
O2は正常の半分まで低下しないと調整が起こりません
そのため、慢性的な呼吸器疾患で低酸素状態の人は別ですが
普通の人では、主にCO2の上昇により換気が調整されるのです
難しい話が続きますが
ここまで大丈夫でしょうか?
ここまでを踏まえて
過呼吸の話をしますが
精神的な不安(心身症、パニック障害など)で
大脳皮質が刺激されて、過呼吸になると
血液中のO2が増加し、CO2が減少します
しかし
酸素飽和度といって
血液の中に取り込むことのできるO2の量は制限があるため
O2は一定量以上は増えないのです
一方
CO2は出ていくだけなので
極端に減少します
血液中のCO2が減ると
脳幹の呼吸中枢への換気調整刺激は減り
脳幹(無意識の調整)は換気を低下させて
血液中のCO2を増加させようとします
しかし
高次中枢の大脳皮質(意識的な呼吸調節、精神的興奮で呼吸を調節)は
換気が低下するのを異常ととらえてしまい
換気を増加させようとしします
そうして
発作が悪循環になってしまうのです
過呼吸発作は放置すると数十分以上続きます
しかし
決して死ぬことや、後遺症を残す事はなく
どんなに強い発作が起きても、時間とともに必ず元に戻ります
過換気症候群の対処法としては
前回話した
ペーパーバック呼吸法(paper bag rebreathing)が
一般的に良く知られています
これは
紙袋で口と鼻を覆って呼吸する事により
呼気中の二酸化炭素が袋に溜まり
それを呼吸することによって
二酸化炭素が増加して発作がおさまると言われています
一見、理にかなっているようですが
最近ではあまり用いられません
その理由として
①過換気症候群の治療としては効果がない事が多い
②著明な低酸素や死亡の報告が続いている
③器質的疾患で過換気になっている患者
(例えば、肺水腫や代謝性アシドーシス)では
CO2を増やし、O2を下げる事が致命的になる可能性がある
④呼吸困難に陥っている人に対して、この方法は行いにくい
⑤二酸化炭素そのものが患者の不安を助長する可能性がある
等が言われており
推奨している人も
紙袋と口の間に隙間をつくって行うなど
低酸素状態への注意に言及しています
この理論的説明ですが
例として
ダイビングなどの息止め競技で
潜水時間を伸ばす禁断の方法である
ハイパーベンチレーション呼吸法があります
これは
呼気を強調した大きな深呼吸を
潜水前に繰り返すことで
血液中のCO2を低下させる呼吸法です
ダイビングで息を止めている間は
O2は消費され低下しますが
CO2は増加します
前述の様に
CO2が一定の値(閾値)まで上昇すると
延髄の呼吸中枢が刺激されて換気亢進の命令が出されます
そして、呼吸が苦しいのを自覚して息こらえを止めるわけです
しかし
ハイパーベンチレーション呼吸法で
CO2が低下した状態で潜水を行うと
閾値に達する(CO2が上昇して呼吸が苦しくなる)
までの時間が長くなるので
息こらえ時間が長くなります
その結果
呼吸苦を感じないまま血中の酸素が低下していき
ブラックアウト(脳の酸欠状態による意識消失)を
起こしてしまう危険性が高まるのです
過呼吸での低CO2状態で
ペーパーバック法を行うと
これと同じ状態が起きる可能性が高く
危険なのです
対処方法については
また次回に
