読み応えのある純文学を久しぶりに読み終わりました。今は満足感で一杯です。
第10回茅盾文学賞(長編小説が対象)を受賞した作品ということで読み始めました。この小説は陝西省の地方演劇である「秦腔」をテーマにしています。
十代もまだ下の方の田舎の少女が、「秦腔」の劇団に炊事員として入ったことをきっかけに俳優となり、自ら人生の道を拓きはじめます。そして、中国だけでなく海外でも名声を得るトップ女優となり、50歳を過ぎて後継者を育成しますが、その結果、自らはトップ女優の座から退かざるを得なくなるります。小説は彼女の40年間の舞台女優としての歴史を描いています。
ここには中国共産党も政治も何もありませんでした。舞台演劇に一生を賭けた人たちの生き様が描かれていました。そこには英雄はいなく、まさに「中間人物描写論」そのものの作品だと思いました。
結構量のある作品ですので、まさか日本語の翻訳は無いだろうと高を括っていたら、今年7月に3冊本で出版されていました。ご興味のある方は一度ご覧ください。専門的かつ特殊な演劇用語や道具類の独特の単語は翻訳が大変だったと思います。
- 出版社 : 晩成書房
- 発売日 : 2023/7/3
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書 籍 名:《主角》
作 者:陳彦
出版社名:作家出版社
出 版 日:2018年1月 第1版
2020年5月 第16次印刷
自己評価:★★★★★
文 字 数:392千字/計63,629千字
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