9月18日(金)から大阪の映画館で中国語字幕で上映されると聞き、さっそく観にいってきました。客席は7割ほどが埋まり、1980年代の中国映画上映会を思わせる盛況ぶりでした。観客はほとんど中国人でしたが。

 

本作は、2000年代初頭の中東某国(具体名は示されない)を舞台とした戦争映画で、中国では数少ない反戦映画と位置づけられるかもしれません。中国で食堂を営んでいた料理人の徐福は多額の借金を抱え、家族を養うため「労務輸出」の一環として単身中東へ渡ります。

 

現地の「龍餐館」で料理長となった徐福(沈騰)は、アラビア語と英語を上手に操るホールマネージャーの馬俊生(蒋奇明)と協力し、店を繁盛させます。しかし戦況が悪化すると、常連客や住民が次々と犠牲となり、店も破壊されてしまいます。

 

さらに徐福たちは、孤児となった子どもたちが武装組織に利用され、自爆攻撃を強いられている現実を知ります。当初は「金を稼いで無事に帰国する」ことだけを望んでいた徐福も、馬俊生や子どもたちとの交流を通じて心境が変化し、危険を承知で子どもたちを救おうと決意します。

 

本作の製作には相当な資金と労力が投じられており、青島東方影都に10万平方メートルの巨大セットを建設し、ここで7割の内容を撮影したほか、寧夏回族自治区の炭坑やエジプトの砂漠でも撮影を行ったとのことです。

 

本作は同じ文牧野監督の『我不是薬神』との相似性も強く感じました。金に困った「普通の人間」が、当初は金儲けを目論みながらも、最後には自らの信念に基づく行動へと踏み出す点は、両作に共通する主題と言えるでしょう。この点に文牧野監督の美学を感じました。

 

印象的だったのは、舞台となった国名は明示されないものの、描写はイラクを想起させる点です。激しい空爆の後に多くのアメリカ軍兵士が進駐してきました。また、自爆攻撃に動員された子どもたちは、非合法組織のISISが誘拐してきた孤児たちを、テロリストに仕立て上げたことを、モデルにしているように思われました。

 

『薬の神じゃない』がお好きだった方に、この作品をおすすめします。日本語版はまだ上映されていませんが、今後も評判が良ければ、『薬の神じゃない』のようにDVD化されるかもしれません。

 

(写真は百度百科からお借りしています。)