今回は長春電影製片廠により1971年に映画化された作品を観ました。

 

映画を観ていて脚本家の内の一人が汪曾祺であることを思い出しました。この革命現代京劇の製作に関わったことにより、文革後、汪曾祺はしばらくの間干されていました。しかしその後遅咲きの小説家、散文家として花を開かせます。

 

現在では江蘇省常熟市にある観光名所の沙家浜ですが、劇中では新四軍の傷病兵が多数運ばれてきます。村人たちは一致団結して傷病兵たちを介護し、新四軍の兵士たちと緊密なコミュニケーションを維持します。

 

そこに日本軍の傀儡となった中国軍人たちが現れ、新四軍の兵士の動向を探ろうとします。しかし、肝の据わったお茶屋の女将さんが立ち回り、うまく傀儡軍人たちの目をごまかします。実はこのお茶屋の女将さんこそが中国共産党員でした、という話です。

 

文革を実際に体験した人にとっては、苦々しい記憶しか残っていない革命現代京劇ですが、21世紀の日本人の目から見て、作品の完成度の高さは際立っていました。アクション物の《智取威虎山》は見ていて楽しいですが、《沙家浜》は唱(うた)を鑑賞するのに打って付けの作品だと感じました。