1994年に書かれた張抗抗本人の家族史。

 

中国の解放前から解放後の、1.母のこと、2.母方の祖母と父方の祖母のこと、3.父のことが主に描かれています。小説(フィクション)なのか、小説の形を借りた家族史なのか、家族史の形を借りた報告文学(ルポルタージュ)なのか良く解りませんでした。良く解らないところにこの本の良さがあります。

 

赤色にもいろいろありますが、書名の「赤彤丹朱」に「紅」が混じっていないのがミソです。中国現代史が解らずにこの本を読むと、何を書いているのか理解できませんが、書かれている内容は意味深長です。

 

この本を読んで中国で生きていくことの大変さを改めて感じました。本が執筆された1994年ではなく、ほぼ30年後の2023年に読むことが出来たのは、より高い視点、より広い視点から本書を理解するのに良かったと思いました。

 

末端の革命運動に参加した人々の等身大の姿が描かれています。中国現代史をミクロの視点から見てみたい方にお薦めの一冊です。

 

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書  籍 名:《赤彤丹朱》

作  者:張抗抗

出版社名:人民文学出版社

出  版 日:1995年5月 北京第1版  

               2013年1月 第1次印刷
自己評価:★★★★★
文  字 数:298千字/計61,828千字
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