ある中国人女性の解放前から解放後40年間の性愛史を描いています。

 

解放前美貌の女子高校生だった王琦瑶は上海の路地(里弄)に住む普通の女性でしたが、ふとしたことがきっかけで上海で開催されたビューティー・コンテストで入賞します。そのことにより国民党特務のボスに見初められ、囲い者になります。

 

しかし上海が解放されると、男は事故に遭って死んでしまい、王琦瑶は男と縁が切れてしまいます。解放後は看護師をして生活していた王琦瑶でしたが、5人の異なったタイプの男性と恋愛関係になります。しかし、最後には自分の娘と同じ年頃の男性と関係を持ったことにより、その若者に金銭目的で殺されてしまいます。

 

王安億の小説は学生時代に短編しか読んだことがなかったため、今回初めて長編小説に挑戦しました。王安億の小説は母親の茹志娟の小説並みにしっとりと丁寧に書かれていて好感が持てました。また張愛玲並みに微妙な女性心理を描いていて、女友達との間でのマウントの取り方等、男性には少々理解が難しい点がありました。

 

一つ不満に感じたのは恋愛小説でありながら、性に関する具体的な描写が全くなかったことです。その分男女のドロドロがかなり薄まり、少々炭酸が抜けたサイダーのような気がしました。

 

この小説は既に映画化および舞台化がされています。私は映画のみ見ましたが、映画では鄭秀文(サミー・チェン)が王琦瑶の役をしていました。

 

===================================

書  籍 名:《长恨歌》

作  者:王安忆

出版社名:人民文学出版社

出  版 日:2004年 5月  北京第1版

               2012年 2月  第5次印刷
自己評価:★★★★
文  字 数:300千字/計59,381千字
====================================